ドイツ人から学ぶ本当のクオリティ・オブ・ライフ
南ドイツは3月初旬からすでに春の雰囲気を漂わせている。耳を澄ませば、小鳥の声が聞こえ、散歩をすれば、あちらこちらに可愛い花が咲いている。
ドイツの北の街 オイティンにいた頃は、天気も曇りがちで沈んでいた気持ちも晴れの日が多い南ドイツでは雲ひとつない青空に毎日、胸を弾ませている。
ドイツに来て初めての頃、驚いたのがドイツでは日曜日はスーパーやお店などが閉まっているということ。ガソリンスタンドさえ閉まっているところもある。キリスト教信仰の多い国ならではなのか、日曜日はみんなしっかり休むのだ。
もちろん、いくつかのカフェや飲食店は営業しているし、駅の地下にあるスーパーなども開いているらしいが基本的には日曜日は閉まっている店が多い。つまり、仕事が休みでも買い物に行くことはできない。
だから、土曜日までに日曜日のための食材の買い出しなどを済ませておかなければいけない。
しかも、お店だけでなく、「音」にも厳しいドイツの日曜日。
日曜日に騒音を出してはいけないドイツでは、工事はもちろんしていないし、掃除機をかけるのもダメと言われるくらい。
最初は不便だと感じていたドイツの日曜日も、最近は悪くないと思い始めた。むしろ、そんな暮らしをしているドイツの人たちは、休日・人生を満喫するのが日本人よりも上手だなと気づかされた。
日本とドイツ 休日の過ごし方
日本は曜日に関係なく、スーパーは毎日営業しているところが多いと思う。なんならスーパーが閉まっていたって、コンビニは24時間営業だし、何かが必要になった時に、すぐに手に入れれる方法が何かしらあると思う。
私も日本で生活していた頃は、仕事が休みの日に買い物に行きたい時は曜日にかかわらず、出かけていた。
買い物を目的にしていなくても、京都や梅田、難波の街をぶらぶらするために出かけていた。
言い換えれば、常に都会の喧騒(騒音)の中にいて、ヒトに囲まれた環境にいた。
それがドイツではありえない。
前述した通り、ドイツの日曜日はほとんどすべてのお店が閉まっている。
特に服屋さんや雑貨屋さんなどのお店は基本的にすべて閉まっている。
だから街へ出かけても、できるのはせいぜいウィンドウショッピングくらい。歩いている人の数ももちろん少ない。
では、そんなドイツの日曜日をここに暮らす人々はどう過ごすのか。
ドイツの人たちはただ散歩に出かけたり、ランニングやハイキングをしたり、ただ公園で子供たちと遊んだり、友達とピクニックをしたりするのだ。
これだけ聞くと、つまらなさそうに聞こえるが実はこういう時間が人生には必要で、日本人の多くは気づいていないことだと知った。
周囲からの評価を気にせざるを得ない日本人
私がオーストラリアやドイツでの生活をする中で、気付かされたことのうちの一つに、日本での暮らしがいかに「窮屈」だったかということ。
海外で暮らしている日本人(特に女性?)なら思うことが1回はあると思うが、日本人(ここでは女性目線で話します)がいかに「美」や「流行」「ファッション・おしゃれ」に敏感であるかということ。
これはあくまでも私の個人の意見だが、日本人は周りからの目(世間の目)をあまりに気にしすぎていると思う。
さらに言えば、それは私たち個人の意思に関係なく、日本で暮らしていると無意識的に気にしてしまうということ。
女性の体型はこうでないといけない、とか、おしゃれな格好かどうか、服装や髪型、ネイルは整っているかどうか、とか、年相応のブランドを身につけているかどうか、とか。
書き出すとキリがないのだが、日本では気にかけなければいけないことが多いように思う。
気にせざるを得ない周囲からの目や、周り(友人や職場の人)からどう思われるか、など本人の意思とは関係なく存在する見えない評価にみんな無意識的に行動を制御されているように思う。
その買い物は本当に必要な消費なのか。
そのファッションは本当にあなたが好きなこと・ものなのか。
その友人関係や職場の付き合いは本当にあなたの人生にとって必要な繋がりなのか。
あなたが訪れる場所は本当に行きたかった場所なのか。
日本を離れてから、そんなふうに思うようになった。
シンプルな暮らしをするドイツの人たち
ドイツの人たちは、自分の好きなことに忠実な人たちが多いように思う。
街を歩いていても、”流行”を気にしている人はあまりいない。
流行りやファッションを悪く言いたいわけではなく、周囲の評価は一切関係なく、自分が着たい服をみんな着ている。
それがおしゃれかどうか、とか、流行りのスタイルかどうかなどはどうでもいいのだ。
休日に、特別な場所に行かなくても、家の近くを散歩して、春の訪れを告げるように咲き始める花や鳥の声を聞いて季節を感じ、青く晴れた空と太陽に感謝して、休日というゆったりと流れる時間に身をまかせるのだ。
日本に住んでいるとそんなシンプルな幸せでさえ見落としがちになる。
自分と他人の生活を比べる必要もないし、インスタグラムにおしゃれな写真を載せて、フォロワーに見せる必要もない。
ドイツの人たちは本当の「クオリティ・オブ・ライフ」を知っているのかもしれない。
そんな彼らから、人生における本当の楽しみ(幸せ)をこれからも学びたいと思う。