星間飛行
今日はきっと星が綺麗だ。
まだ帰りの電車の中だから外があまり上手く見えない。
会いたくて会いたくて仕方ない。
途方もなく、行き場もない心がゆっくり身体から漏れていく。
目を閉じて。
ゆっくり考える。
また一人で君を想う夜になる。
電車を降りて見上げた空は雲がかかっていて星も月も見えなかった。
そんな夜はこんな想像しながら家路を行く。
星間飛行。
また少し目を閉じて。
アスファルトから足が離れて、街頭をくぐり抜けて星の見える場所まで、少しずつ高度を上げる。
あの日見た星を探して、あの日二人で見た、あの星空を探して、きっとどこまでも星の間を通り抜ける。
そのまま君に会いに行ってもいい。
会いに来たのは月が綺麗だったから。
会いに行けないのは君の空には月が見えないから、
涙に気付かないふりをして、星の中で今夜は眠ろう。