見出し画像

こどもの「敏感」はそのままでいい。たっぷりと「大丈夫よ」を注いであげる。

「うちの子、敏感すぎるんじゃないかと思って…」

お仕事でそんな相談に乗った後
ぼんやりと「敏感」ということについて
考えていました



確かにあの子、敏感だったな
うとうとと寝入りそうになった瞬間
微かな音でも聞こえると
ぱちっと目を覚ましてキョロキョロ
ちょっと尖った音だったら顔を歪ませて
うえーんと泣き出してしまう

うん、確かに
敏感かそうじゃないかっていったら
敏感な子だった



抱っこでゆらゆら
長い時間かけてやーっと眠った…と思った瞬間に
ささいなことで目が開いてしまうあの絶望感
うん、私も覚えがある

お母さん、しんどいだろうな
まだ夜も何回も起きてるって言ってたし
お母さんが眠れていないのなら
より小さなことでも絶望しちゃうよね

こどもを預かって寝かしながら
お母さんにもお布団を敷いて
眠らせてあげたいな…と思っていました



土曜日の朝
おとうさんがいないから
特別に電車を見ながら朝ごはん



さて、それはちょっと
「別のこと」して置いておいて
「敏感」ってことについて戻りましょう

些細な音で起きてしまう、泣いてしまう
それは確かに
「敏感」っていう言葉で表すことができます

そしてそれを「敏感」って言葉で表す時
「ちょっと困ったな」というニュアンスが
含まれているような気がします

本来ならスムーズにいくはずのところで
なんかかんか引っかかっちゃうからね
「上手く行かないなぁ」って感じやすい

でもね、それは
「大人側」からの視点なの



私は保育士として働いているので
プライベートの「母としての大人側の視点」
とは別にもうひとつ

「こども側」からの視点を持っています

「敏感」をこども側からの視点で言葉にすると
「よく気が付く」なんですよ



この子の場合は
「耳が良い」「よく聞こえてる」なの

まずそういう要素を持っていて
そしてまだ小さい赤ちゃんとして
「知らないことが多い」という要素も持っている

ふと聞こえた音は
隣の部屋の扉が閉まる音とか
グラスを重ねる音とか
なんてことない音ばかり

でも赤ちゃんにとってはその音が
安全なものなのか、危険なものなのかは
まだわからないんだ

だから赤ちゃんは微かにでも音が聞こえると
目をぱちっと開けて、神経をピリッとさせて
周りの様子を伺うんだね
「だいじょうぶかな」って

生き残るために、気を張っているの
「生きる」に、一所懸命なの

そう考えるとね
「敏感」「耳が良い」「よく聞こえてる」は
直さなきゃいけないことじゃないって
わかるかな…?



この子もホントに寝ない子だった…
「眠いなら寝りゃいいじゃん…!」と
何度言ったことか



でもね、ずっと気を張っていて眠れなかったら
赤ちゃんも疲れちゃうし休めない
そしてお母さんも、疲れちゃう
確かにこのままだとちょっと困っちゃう

じゃあ、どうしたらいいかというと…



必要なのは「安心感」なんです

赤ちゃんは「よく聞こえて」
「それが何かわからない」から
危険を感じて気を張っている
だから尚更に耳をすまして音を拾う

この赤ちゃんに必要なのは
「音を気にしないようにさせること」でもなく
「完璧に静かな環境を用意すること」でもなく

「大丈夫よ」と伝えることなんです



もう少し大きな子だったら
「コップの音だね、大丈夫だよ」って
言葉で伝えてあげるもいい

このくらいの小さな赤ちゃんだったら
「だいじょうぶ、だいじょうぶ」って
ささやきながら
優しい気持ちでトントンしてあげるもいい

なでられる優しい手の感触や
抱っこで触れている身体のぬくもりから
「大丈夫よ」が伝わるように

ピリッと緊張した身体を
ふぅっとゆるめてくれるように



そんなあの子も今じゃ保育園でたっぷり遊んで
おやすみ5分の子に
たまに家に着いた途端寝落ちることさえある
(これを私は床にこどもが落ちていると呼ぶ)



そして私は
お母さんが安心して「大丈夫よ」を
赤ちゃんにささやけるように
優しい気持ちになれるように

ほんの一時だけど
「安心して赤ちゃんから目と心を離せる」
時間を作ってあげる
心と身体を休める時間を作ってあげる

「敏感って、悪いことじゃないんだよ」って
伝えることで
「うちの子、大丈夫かしら…」と
心配する心から解放してあげる



赤ちゃんが心から安心して
すぅっと眠りにつけるまでは
きっともう少し時間がかかる

赤ちゃんに「大丈夫」が届くまで
たっぷりと、たっぷりと
お母さんに「大丈夫」を注いであげる

私はそれしかできないし
きっとそれが一時預かり保育士の仕事の
一番大切なことで

そして、お母さんと赤ちゃんに
してあげられる「限界」でもあると思ってる



私にできることは、それくらい
だからこそ、丁寧に、たっぷりと
「大丈夫だよ」を注いであげる


いいなと思ったら応援しよう!