離婚風景

「ねぇ、仕事疲れで大変なのはわかってるけど休みの日ぐらい家事やってよ。っていうかあなた結婚してからずっと家事やってないよね。うち今共働きなんだよ。私だって週三日は働いてるんだよ。だから家事やってよ、じゃなくてやれよ。これ命令だよ」(かなり圧かけながら)

「でも僕家事なんて生まれてこの方ことないし。お皿割ったらどうするんだよ」(オドオドしながら)

「うっさい!皿洗いなんて私がやるわよ!あなたは三角コーナーと水道の網の入れ替えやって!」(もっと圧をかけながら)

「わ、わかったよ!それぐらいなら出来るよ」

「うん、やって」

「ぎゃあああああ〜!」

「な、なにどうしたの!」

「な、ナメクジが僕の手にぃ〜!」

「ナメクジぐらいでそんな大声出さないでよ!近所に聞こえたらどうすんのよ!」

「で、でも僕哺乳類以外の生物は全くダメなんだよぉ〜!特に昆虫とかこういう軟体動物は一切受け付けないんだヨォ!」

「全くしょうがないなぁ!ほら手を出して!」(そのまま手で摘んでゴミ箱に捨てる)

「ほら大丈夫。ナメクジもうゴミ箱だから。全くこんなのにビビってたらとても家事なんてできないよ」(と、夫の腕を軽く叩く)

「……」

「どしたの?私にお礼とかないの?」

「触るな!そんな汚い手で僕に触るな!」

「はぁ?それがナメクジとってあげた私にいう言葉!感謝されるならともかくなんで私が汚物みたいな言われ方されなきゃいけないのよ!」

「君なんか汚物以下じゃないか!綺麗好きだと思っていたのに、ナメクジを触って全然平気な人間だったんだから!失望したよ!君には失望したよ!」

 三日後夫は帰ってくるなり離婚届を突き出して妻に三行半をつけた。

「さぁこれにサインしろよ!このナメクジ女!とっととこっから出てうせろ!」

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