初心に帰る
初心に帰ってすべてをやり直す。口ではそう言っても実際にやるとなるとなかなか辛い作業だ。積み上げたものを全て0にしてまた一から組み立て直さなければならないのだ。正直気分だってのらないし、いっそすべてを投げ出してどこか遠い南の島に逃亡してしまいたくなる。今日は休日だ。だから誰も見ていない。まぁ自分を見ていてくれる人間なんか普段から一人もいないのだけれど。初心に帰る。私は今人生をやり直すためにガラガラを持って、赤ちゃんルックでオムツを履き、美しいお姉さんが住むとなりの部屋のドアの前に赤ちゃん用のベッドを置きそこで寝てバブー!と鳴いてお姉さんを呼んだ。中から足音が聞こえる。お姉さんはドアを開けてそこに赤ちゃんに戻ってしまった私を見るだろう。そしてきっとお姉さんは赤ちゃんにまで戻って人生をやり直そうとする私を自分のベイビーとして大事に育ててくれるだろう。私は無精髭の生えた唇でお姉さんの乳首から母乳を吸い上げ成長していくだろう。あの醜かった母よさようなら。あなたと縁を切ってこれからはこの美しいお姉さんの子供になって人生をやり直します。だから僕のこれから再び始める人生の邪魔はしないでください。
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