うどん紀行 第四回:献身うどん ~戦国に散った実らぬ恋
長いトンネルを抜けたらそこは雪国だった。私は列車の窓に映る雪景色を見て先程の停車駅のホーム食べたうどんの汁の味を思い出し、知らずのうちに指をしゃぶっていた。その行為は確かに指にうどんの汁の味など残っているはずはないので馬鹿げており、また切符を確認しにきた女性の車掌が引くほど酷いものであったが、しかしこれは天かす生姜醤油全部入りうどん好きである私には抑えきれない行動であった。積もった真っ白な雪はうどんを思わせ、空に舞っている雪は天かすを思わせてしまう。その光景を見ていると何故