あなただけの / わたし
自分は傷つけることによってしか真実を書くことができないと知ったとき、自分以外の誰かを知った。
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誰かの心に痛みとして食い入っていくのも、きっと間違いではないが、どこかでこんなはずではなかったと思うだろう、あなたかわたしのどちらかが。あるいはどちらもが。
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あなたが誰であろうとも、あなたがなにかを表現するとき、それはいつもわたしの限界をあらわしている。
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限界とは、わたしの可能性の極と今あるわたしの極が限りなく近づき逸れていく力場のことだ。
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限界とは、わたしの可能性の極とあなたの可能性の極が限りなく近づいて逸れていく力場のことだ。
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あなたの心臓の鼓動が、あなた以上に憎らしい。その鼓動の影に潜んでいるものを欲しいと願う自分を知るとき、あなたに近づくこともあなたから離れることも拒んでいる自分がいる。
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あなたのあらわした音の、光の響きには、無数のわたしが響いている。今この瞬間にも。あなたはそれを聞かないだろうし、聞くこともできないだろう。そんなふうな、あなた自身にはぜったいに聞くことのできない響きをつくることが、あなたをあらわすということなのだ。
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あなたがわたしの中に響かせた響き。つくりだしたはずのあなたには聞くことの叶わない、わたしだけの……。
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あなたもわたしも、同じだけまちがっていると言えるような場所。そこにこそあなたとわたしの限界があり、あなたとわたしの鼓動が限りなく重なり合う可能性があるだろう。
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わたし以外のなにものをも書くことができないと知ったとき、あなたはあなた自身を知った。