【めも①】触媒、イメージ、繰り返し
思わず読み入ってしまう文章のなかには、ついその題名さえ忘れてしまうようなものがある。
ふと息をついて、何を言っていたのか、この文章は何なのかと、思い出したように題名に帰ろうとする。
きっとその文章は、題名を忘れさせるほど私たちの内部に入り込んでいたのだ。あるいは私たちの内部がそこで語っていたのだ。
そのとき、文章は触媒だった。私たちと私たちの内部とのあいだの。
触媒は、それ自体意識されないことによって、触媒となる。
ある文章が触媒になるというのは、文章が後景に追いやられて