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エッセイ

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冬の馬・六月の春によって書かれたエッセイ、といいつつ、ここには雑文状の文章たちが収納されていく予定です。
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#時間

エッセイ:世界はあった、かのように、うしなわれて

線より下は、本当のなかに嘘を、嘘のなかに本当を、まじえて書かれる。  以前、「感情移入」…

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【エッセイ】世界と心の結び目

花という世界の結び目、時間の流れの中わだかまった小さな渦。私たちの視線は、ときおり、その…

【エッセイ】考えることの麻痺

無意味と意味のないことは、必ずしも一致しない * 私たちの心のどこかが、その都度意味のフ…

【エッセイ】わからなさから触れてくる

自分の動機とか内面とか呼ばれるもの、感じているものを、まったく知らない言葉で書かれている…

【エッセイ】時間に逆らうほどの速さで

光の速さに近づくほどに時間の進みが遅くなるのは、速さが、時間に逆らおうとする動きそのもの…

【エッセイ】誰のためでもなく、自分のためでさえもなく

月の満ち欠けは欲望の諸相をあらわしている、ヒトのあらわれるより古くから。それは待ってなん…

【エッセイ】過ぎ去った静けさを追う

喋りたくないことを喋っている。言葉をつむぐほどにそれが迫ってくる。けれどもなにを喋りたくないのか、なにから逃げているのか。それを知らなければ逃げることもままならず、だからまた喋る。 * 苦しいとか痛いとか恥ずかしいとか、嬉しいとか楽しいとか気持ちいいとか、そういった感情が極まったところで、ふとそれが他人事のように感じられる瞬間 それまでの感情の激しさとの落差のせいで、突然無風が訪れたときそれが強烈な印象を持つように、この感覚じたいも強烈だ そこでは迷い込んでしまったという

【エッセイ】同じではない同じについて

夢から覚めるためにはもうひとつ別の夢が必要だ。幻が別の幻によってしか打ち破れないのと同じ…

【エッセイ】未来を思い出す

私たちは未来を「思い出して」いき、その果てで死を思い出す。 ≠ 未来を思い出すために過去…

【エッセイ】痛みのなかの恥ずかしさ

未来の自分とであうとき世界が生まれる その出会いを極小化していくときそこに時間が見出され…

失敗作の時間

美しさに近づきたいなら、醜さを隠すこと 美しいことよりも美しさを装うことのほうが、道も人…

忘れたことだけはせめて忘れない

忘れられる、とは、その瞬間だけが記憶している、ということ ≒ つまり、他のあらゆる瞬間か…

水のような時間への憧れ

川にも海にも憧れる。これは水にたいする二つの違う憧れ。 * 己の感性が説明的なことが嫌な…

私は「ありのままの私」の影だ

才能で生きていかなければならないのは不幸な社会だと、昔誰かが言っていた気がする。たしかに、私たちみながそれなりにいい加減に持っているなにかだけでいい加減に生きていけるのが、結局はいちばん幸せなのかもしれない。才能はつねにその人にその人自身を問いかけ、求め続ける。自分のなかの正しさもまちがいも孤独も苦しみも肯定し続けろ。ありのままでいい、ではなく、ありのままであれ。牢屋に閉じ込められたみたいに息苦しいだろう。 * ありのままであれ。死から逃れながら絶対に死ねと言われている。