【エッセイ】過ぎ去った静けさを追う
喋りたくないことを喋っている。言葉をつむぐほどにそれが迫ってくる。けれどもなにを喋りたくないのか、なにから逃げているのか。それを知らなければ逃げることもままならず、だからまた喋る。
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苦しいとか痛いとか恥ずかしいとか、嬉しいとか楽しいとか気持ちいいとか、そういった感情が極まったところで、ふとそれが他人事のように感じられる瞬間
それまでの感情の激しさとの落差のせいで、突然無風が訪れたときそれが強烈な印象を持つように、この感覚じたいも強烈だ
そこでは迷い込んでしまったという