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Photo by
aska_aska
桜の色 春の色
「桜は何色?」
君が僕に訊ねた
「桃色でしょ。」
君はもう一度問いかけてきた
「じゃあ春は何色?」
「青かな。青春という言葉があるし、若さとその活力がみなぎる季節だし。」
そう、と君は俯いて呟いた
「私には真っ白に見えるよ。新しい環境に臨む季節で、また新しいキャンパスに色を塗りたくるしかない。」
うん、としか僕は頷けない
「東京の大学に行っても私を忘れないでね。ちゃんと1日1回のおはようとおやすみのLINEを忘れないでね。」
うん、うん
「僕が東京で入学式を迎える頃 向こうでも桜は咲いているはずさ。写真を送るよ。」
一瞬安堵したように見えた直後、君は溢れる涙を降らした
少し離れた並木道 既にこの町では桜が咲いていた
僕が桜の写真を送る頃 この町では桜が散っているはず
そうか、僕も君も気付いてしまうのか 遠く離れた場所でお互い生活していることに
#恋 #小説 #エッセイ #日記 #詩 #自由詩 #現代詩 #春 #桜 #ポエム #別れ #文章 #言葉 #詩のようなもの
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