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【第2回】自己肯定感って結局なんだと思いますか?(1)

自己肯定感という言葉、最近はもう正直聞き飽きた感も否めない言葉である。

しかし、この言葉についてしっかり自分の中で考えを尽くしていなかった。

そして、自分自身の自己肯定感がしっかりと育っているのかどうかも、よくわからないままだった。

自己肯定感とは

まずは、定義をおさらいしてみる。そのままの言葉を分解すれば、自分自身を肯定的に捉える感覚のことといえる。

しかし、定義として使われる言葉にもさまざまな言い回しや表現がある。

  • ありのままの自分を肯定する感覚のこと

  • 自分への評価をするときに、自分の「よさ」を肯定的に認める感情

  • 自分の在り方を積極的に評価できる感情

  • 自らの価値や存在を肯定できる感情

表現方法はいろいろで「自己肯定感」の周辺には、自尊感情・自信・自己評価・自己効力感などいろいろな言葉が出てくる。

だからこそ、適切でない使い方をされたり、誤解されたりすることも多い言葉である。

わたし自身、この言葉を知った当初は「自分に自信が持てるかどうか」という話だと思っていた。

他人から「自己評価が低い」ということについて「自己肯定感が低い」と表現され、腑に落ちない感覚がしたこともあった。

そもそも自己肯定感とは、日本の臨床心理学者 高垣忠一郎氏が1994年に提唱した概念。子どもの自己評価が低いことが、不登校や無気力、引きこもりや自殺などの深刻なテーマの根底にあるとして、この概念を用いるようになったそう。

もともとは、抽象的で理解しにくいものをわかりやすくするための言葉だった。しかしそれが、社会全体で使用され、重要視されていくとともに「自己肯定感など必要ない」という意見も出るようになった。今やどこか釈然としない、わかりにくい言葉に変化してしまった側面もあると思う。

もちろん、こうした変化は自己肯定感という概念に限ったことではない。言葉や概念の捉え方は人それぞれなので、完全に統一できるものではない。

かくいうわたしは、自己肯定感を育むことは大切なことだと思っている。しかし、どこかあいまいで、はっきりしないので使いこなせないでいる。

その理由は、自己肯定感が階層や群をなしているものだということを理解していなかったからだ。

自己肯定感の下層や群のなかにある感覚・感情

自己肯定感の周辺には、自尊感情や自己効力感など、似た意味の言葉がよく登場すると前途した。

その類似する感覚や感情を整理すれば、自己肯定感の全容が見えてくるように思う。

自己肯定感を構成する「要素」となっているものを、わたしなりにまとめてみる。

自己概念:自分がどのような人間なのか、自分で認知している自己像のこと。

自尊感情:自分を尊重する感覚や態度のこと。自分自身に価値があることを認められる感覚。

自己受容感:どんな自分もOKとする感覚。ありのままの自分を受け入れる感覚。

自己効力感:自分にはできると思える感覚。自分で決めた目標やゴールに対して「自分なら達成できる」と思える感覚。(自分の過去の成功体験に基づいている)

自己有用感:自分が社会や他者の役に立っているという感覚。(他者からの評価やフィードバックで得られる感覚)

自己信頼感:自分を信じる力や感覚のこと。自分の判断や感覚を信頼する力。

自己決定感:社会や他者の影響を受けずに、自分自身の意思で物事を決定したり、選択したりしている感覚のこと。

わたし個人の考えと知識のなかでは、この7つが自己肯定感を構成する要素として大きく関わっていると思う。

自己〇〇感は、すべて育て方やアプローチが異なる

ここまで整理して痛感したのは、自己〇〇感といわれる複数の類似した概念は、すべて育み方やアプローチが異なるのでは、ということ。

前章で挙げた感覚のなかでは「これはだいぶ問題なさそうだけど、これはかなり弱いんだよな……」と自覚できる差があることに気づいたのだ。

たとえばわたしの場合、自己有用感は比較的育っているが、自己効力感が弱い。このふたつは、語感もとてもよく似ているので、一見何が違うのかわかりづらい。

でも実際は、自分の過去の成功体験から育まれるものと、他者の評価やフィードバックによって育まれるものというように、全く逆のアプローチで育つものだということが分かった。

それに、自己信頼感と自己決定感もよく似ていると思う。自分を信じられる力と、自分で決定したり選択したりする力は一緒なんじゃないかと思える。

でも、よくよく調べると「自分の感覚や判断を信じられる力」と「自分の意思で行動や選択をする力」なので、前者は思考面、後者は行動面、というように分かれているように感じた。

自己肯定感を分解して見えてきたもの


それぞれの自己〇〇感はすべて異なるものであり、その育て方やアプローチの方法が全部違う。だからこそ、それをバランスよく育てることで、ありのままの自分を評価したり、物事を前向きに進めるための原動力になっていくわけだ。

RPGゲームのようなものだなぁと思う。世の中で戦っていくためには、どれか一つの感覚や力だけでなく、自分を肯定的に捉えるためのさまざまな力ををバランスよく育て、備えていることが重要なのだろう。

ちょっと長くなってしまったので『自己肯定感って結局何なのか』というのは第3回目でまとめることにする。

【第1回】自分はどんな人間だと思いますか?|インサイトジャーナル






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