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チェルニーが語る、〈猫のフーガ〉

Note上で展開する、架空のラジオ番組《クラシック・エトセトラ》。
この番組では、毎回異なる音楽家がパーソナリティーを務め、
自身のお気に入りの曲と、その曲にまつわるエピソードを語っていきます。
今日の担当は、作曲家のカール・チェルニーさんです。
(お話は史実に基づき構成しています)


こんにちは、カール・チェルニーです。
ウィーン生まれ、ウィーンに住んで
ピアノを教えたり、作曲をしたり、ときどき演奏もしています。

1833年のカール・チェルニー(1791−1857)
ヨーゼフ・クリーフーバーによるリトグラフ

今日は、僕が書いた曲ではないんだけれど、
僕の大好きな猫の曲を紹介するよ。

皆さん、猫は好きですか?
僕は一人住まいだけれど、いつも、たくさんの猫と暮らしているんだ。
猫専用の部屋もあってね、家にはいつも7匹以上はいるかな。
子猫が生まれたら、猫好きさんや生徒なんかにも譲渡してる。
猫によっていろいろだけど、
ツンとしてたり、すんとしてたり、甘えん坊だったり、暴れん坊だったり。
みんな、愛くるしくて、かけがえのない存在だよ

猫と一緒のチェルニー ©︎夏目ムル

今日、紹介するのは、
イタリア人作曲家でスペインでも活躍した
ドメニコ・スカルラッティという人が書いた
〈猫のフーガ〉っていう作品だよ。
そう、猫好きには、たまらない曲なんです。

ドメニコ・スカルラッティ(1685−1757)


なんとこの作品、彼の愛猫プルチネッラとの共作なんだって。
え?って感じでしょ。
ある日、プルチネッラがスカルラッティの鍵盤の上を歩いて、
この曲のテーマを弾いたんだって。
それで、そのテーマを使ってスカルラッティがこのフーガを書いたらしい。

猫のフーガ;カール・ライヒェルトによる版画(1870)


なんだか凄く良くできた面白い曲でさ。
僕はこの〈猫のフーガ〉と彼の他の曲をまとめて出版するための
編纂なんかもしたんだ。
その中でも〈猫のフーガ〉は、
僕の周りのピアニストにも、大人気。
ピアノ仲間のモシュレスとか、
僕の弟子のリストもお気に入りらしい。


ということで、〈猫のフーガ〉の名で知られる
ドメニコ・スカルラッティのソナタ ト短調 K30 (L499)
をお聴きください。
ピアノはフェデリコ・コッリです。


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夏目ムル
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