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映画『星を追う子ども』感想

余暇の時間を利用して新海誠作品を消化しています。今回は、映画『星を追う子ども』を視聴したので感想を書いていきたいと思います。


評価(100点満点中)とランク(S~E)

評価とランク
90点以上 Sランク・・・歴史に残る不朽の傑作
80点台  Aランク・・・何度見ても楽しめるハイレベルな名作
70点台  Bランク・・・満足度が高い佳作
60点台  Cランク・・・随所に良いところもある手堅い作品
50点台  Dランク・・・鑑賞者によって賛否が分かれる作品
50点台未満Eランク・・・今後視聴するか迷う作品

55点
Dランク

評価項目

下記の6項目で評価しています。
・ストーリー(脚本)
・構成
・演出
・キャラクター
・映像
・音楽

ストーリー

あまりにジブリ過ぎる。最初から最後までジブリ映画の各作品のつぎはぎを見ているようだった。筆者が確認しただけでも『千と千尋の神隠し』、『風の谷のナウシカ』、『もののけ姫』、『天空の城ラピュタ』、『ゲド戦記』からの影響を受けているポイントが数多くあった。

構成

話の構成自体はすっきりしていた。よく言えば明快、悪く言えばありきたり。しかし、ところどころ登場人物の行動に矛盾があるなどして、頭に?マークがでたりした。

演出

新規性はあまり感じられなかった。声優の演技も無難そのもので印象的なシーンは非常に少ないと言わざるを得ない。

キャラクター

シュンとシンは声優も込みで初見で完全にハクだろ!と思った。おそらくキャスティングの段階で『千と千尋の神隠し』を意識していたということだろう。また森崎のアルカンジェリ内での立ち回りはさながら『天空の城ラピュタ』のムスカのようであった。

映像

新海作品の映像美の良さが出るのは、アニメーションでありながらもリアルな画面に仕上げてあるということだと思う。その点で言えば、本作品はあくまでもファンタジーであり、ジブリ作品とそっくりであることから、その劣化版になってしまっている。ジブリ特有の筆致には及ばない。ただし、他の量産型アニメ映画と比較するならば非常に質が高い。

音楽

主題歌が普通過ぎて特別感がなかった。BGMも同監督の他作品と比べると印象が薄い。

一部キャラクター寸評

・渡瀬明日菜
フィジカルギフテッド。幸薄なイケメン救いたい、会いたいという点で、のちに『すずめの戸締まり』に登場する主人公すずめに影響を与えていそう。前半から後半にかけて主人公の旅の目的がブレブレになっていくことに、この映画の悪い部分が出ていると思う。

・シュン・クァーナン・プラエセス
完全に『千と千尋の神隠し』のハク。後述するシンと異なり、こいつは性格まで似ている。

・シン・クァーナン・プラエセス
ハクその2。結局何がしたいのかよくわからない。髪を切ったときの容姿が完全に『ゲド戦記』の主人公にそっくり。

・森崎竜司
CV井上和彦のきれいなムスカ。大佐ではなく中佐。奥さんラブ。もうこの作品は妻のリサがヒロイン。

・ミミ
猫。ケツァルトルに遺体を食われたあと主人公一行に助力する。このときの絵面があまりよろしくない。

・森崎リサ
実質的な今作のヒロイン。なんと宮崎アニメのメインヒロイン、CV島本須美が声を当てている。キャスティングがシンのことといい、完全に確信犯としか言えない。

・アモロートの老人
自分の死生観を他人に強要する老人。好々爺に見えて思想強め。

・マナ
唐突に出てきてびっくりした。物語の根幹にかかわるキャラなんだろうな~と思っていたらまさかの途中退場。最後まで言葉を発せないままフェードアウトしていった。制作陣が使い方を間違えたキャラだと思う。

・セリ
『もののけ姫』におけるカヤ。声優に伊藤かな恵を使っているから重要キャラかと思いきや一瞬で登場シーンが終わった。

まとめ

新海作品の中では珍しくファンタジー系の作品だった。宣伝ポスターからしてジブリっぽさが全開だったので怪しかった、ふたを開けてみたら完全にジブリ作品のつなぎ合わせだった。ここまで露骨に似せていってしまうと、元ネタと思われるジブリ作品との類似点を見つけ出す楽しみ以外は、とても白けてしまう。もし今作が『君の名は』以後に制作され、発表されていた場合、新海誠監督のブランドイメージがだいぶ下がってしまっていただろうということが想像できる。同監督の強みはあくまで創作の世界で理想化されたリアリティを再現することにあると考える。その点を考慮に入れると、今作は監督の長所とは合わない題材だったということだ。

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