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娘が巣立つ朝 伊吹有喜著を読んで

よくこの題材で書いてくださったなあ、と。
万人受けする内容ではないだろう。感動系を期待して本書は手にとらない方がいい。

むしろ人生のドロドロした部分が向きだしになった物語だ。
私には、とても響いた。

役職定年が迫った夫。不機嫌な夫に辟易している妻。なんだかもやもやする毎日の夫婦。

そんな時に一人娘が結婚することになった。親にとっても人生における大イベントだ。

しかし、そこに苦悩はつきもので。
親は誰しも子の幸せを願うものだから。

娘が連れてきた息子はなかなかの好青年だ。
が、彼の両親は意識高い系お金持ち。いわゆる格差婚。

お金の切れ目が縁の切れ目というけれど。お金にまつわる問題は避けて通れないんだよね…。

娘の結婚と並行して描かれるのが熟年夫婦の行く末。
こことってもリアリティがあって苦しい。夫の不機嫌、相手を気遣う気持ち、言わなくても分るでしょは伝わらない。

うう、思い出すだけでトモツン(妻の愛称)が不憫で不憫で。

読後、自分の人生の身の振り方を、読者はみんな考えると思う。家族って大事だよね。



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