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【読書感想】傲慢と善良
リアルだなーって思いました。笑
婚活の物語なのだが、心理学か?っていうくらい人間の心理について深いところまで細かく描かれてた。
ということは、人間の嫌な部分までも。
「ピンとこない、の正体は、その人が、自分につけている値段です」
これは主人公結婚相談所の奥様、小野田夫人から言われた言葉。
婚活してると直面する、
相手を見たときのピンとこない。
これについて言及されたもの。
つまり、人それぞれみんな、無意識に自分につけている値段があり、それに見合わない相手をみると、ピンとこないらしい。
ちなみにこの値段というのは、かなり主観的であり、客観的に見たら全然釣り合っていない。そう感じられることも多いのだそう。
「謙虚だし、自己評価が低い一方で、自己愛の方はとても強いんです。」
「ささやかな幸せを望むだけ、と言いながら、皆さん、ご自分につけていらっしゃる値段は相当お高いですよ」
これも小野田夫人の言葉。
つまりそういうことですよね笑
人間、自分のこと客観視できない生き物なのだなぁとこの言葉から感じます。
自分につけている値段。
自己評価は低いけど、自己愛が強い。
私は、これはつまり
自分の評価が低ければ低いほど、自己愛が強くなるのでは?と考えてます。
この社会で生きていく上で、みんな評価されて生きていきます。
特に学校なんかは。
頭の良さを成績表、運動神経は順位、
クラスで何番目に可愛い、かっこいい、
評価が全てといっても過言ではない学生時代。
評価という概念が手放せず
大人になっても染み付いてるものなんだと思います。
でも人間、未熟であり完璧な人間などいない。
そして自分の未熟さは自分が1番よくわかる。
だから、自然と自己評価が低くなる。
でも、自分を嫌いになってしまったら生きていけないという心の防衛反応として、自己愛が強くなるのではないかと私は考えました。
「一人一人が自分の価値観に重きを置きすぎていて、皆さん傲慢です。その一方で、善良に生きている人ほど、親の言いつけを守り、誰かに決めてもらうことが多すぎて、〝自分がない〟ということになってしまう。傲慢さと善良さが、矛盾なく同じ人の中に存在してしまう、不思議な時代なのだと思います」
このセリフも印象的でした。
私自身は昔からすべて自分で決めたいという大人からすると面倒な子どもで笑
でも今となっては後悔はひとつもない。
おかげで失敗からたくさん学ぶことができ、自分で生きていく力が育ったと感じてるから。
でも、昔から不思議だった自分で決められない人。
ずっと疑問だったけど、このセリフで理解しました。
私は、間違っていなかったんだと再認識したと同時に、親の私が子どもに教えることって、さほどないのではないか?
見守ることがいちばんの子どもの幸せと繋がるのではないか?と考えさせられました。
親になった今、失敗を回避しようと先に子どもに口出ししてしまい
嫌というほど昔の自分の親の気持ちがわかるから。
そして
善良であることは、誰かにとって都合がいいからそう教育されたのか。
そして、教育された側も都合がいいから善良さを維持する。
私ほど自我マックスまでいかなくとも笑
子どもを自分で生きていく力を身につけてほしいと感じる。
可愛い子には旅させよということわざ、
よく言ったものですね。
ちょっと話それましたが
善良でも別に生きてはいける。
むしろ社会に馴染むのはその方が都合がいいのだろうと思う。
でも、婚活となると、傲慢さが顔を出す。
初めて自分でちゃんと決断しないといけない場面だから。
「私の価値はこんなに低くない。もっと高い相手でなければ、私の値段とは釣り合わない」
物語ではヒロインは自分で決断し、成長した姿でめでたしめでたしだったのですが、
現実ではいきなりこうも変わる人がいるのかというと、だいぶ少数派じゃないかな、とも思う。
カッコつけたことつらつら書いたけど正直な感想言っていい?笑
失敗しまくって傷だらけでも立ち上がって生きてきた(くるしかなかった)私からすると、グダグダしてる主人公2人にちょっとイライラしながら読んでました笑
(っていうくらい感情移入させられました🫶)