上海のデザート「桂花酒酿丸子」を日本風にアレンジして作ってみた
私は中国の大学生に期間限定で日本語を教えていて(オンライン)、その縁で1人の学生と言語交換を行っている。
具体的には、私が中国語、学生(Rさん)が日本語を使ってのチャットのやり取りや、ボイスメッセージで発音の練習などを行っている。
会話の流れで、好きな食べ物は?という話になり、Rさんのおすすめデザートを作ってみたところ、思いがけず素敵な日中合作レシピを生み出してしまった。
謎の甜品(デザート)「桂花酒酿丸子」
言語交換とはいっても、内容は他愛もない会話だ。
ある夜、私が「今日の夕食はしゃぶしゃぶです」と写真を送ると、Rさんも自分の好きな食べ物を教えてくれた。
その名は「桂花酒酿丸子」。
全く想像がつかず、「それはお酒ですか?」と聞いたら、そうではなくて、料理の最後に食べるデザートらしい。
「酒の香りと花の香りが混ざっている」
「簡単にできますよ」
との説明を聞いて、俄然作る気がわいてきた。
Rさんの地元は上海だ。上海のご当地デザートのようで、日本のサイトを検索しても、情報は全然見つからない。そこで写真を見せてもらった。
なるほど、「丸子(団子)」らしきものが見える。
しかし、作り方の想像は全くつかない。
するとRさんは「待ってください、私がレシピを翻訳してみます」といって、辞書を引きながら、日本語で作り方を教えてくれた。
以下に、その有難いレシピを掲載させてもらう。谢谢❣️
Rさんのレシピ
「桂花酒酿」の作り方
もち米250gは一晩浸水させてから、蒸し器に広げて水気を切ります。
鍋に湯が沸いたら蒸し器を乗せて弱火で40分ほど蒸します。
蒸したもち米を冷やします。
酒麹(中国語では酒曲というもの)を面棒でつぶしてから、冷たい水を加えてよく混ぜます
清潔な沸騰したお湯で消毒した容器を用意し、油も水もないように拭き、もち米を入れて平らにし、中に穴をあけて酒麹水を注ぎます。
ラップをかけて37度くらいのところで水が出るまで発酵させ、あらかじめ砂糖漬けにしておいたモクセイを散らして冷蔵庫に入れます。
注意事項
もち米は普通、手で碾いて割れるまで六、七時間ほど浸けておけばよいです
もち米には冷やさないと酒麹が入りませんし、酒麹の水も冷たい純水でなければなりません。
容器は必ず油や水がなく、清潔でなければカビが生えやすい。
加熱設備のない冬場は発酵に少し時間がかかるので、根気が必要です。
冬は加熱設備がないと発酵に時間がかかりますので、根気が必要です
容器はあらかじめ消毒し、乾燥させておく必要があります
もち米に酒麹水を入れてよく混ぜ、まん中を平らに押さえて穴を掘ります
桂花酒酿丸子
もち米粉に熱湯を加えて混ぜ、生地を作ります。
もち米粉の生地を手で小さく丸めます。
鍋に澄んだ水を入れて沸騰させます
鍋に丸めた団子を入れ、湯が浮くまで煮ます
「酒酿」を入れます
強火ですべての材料をに煮立てます
このレシピは2つに分かれていて、まずは「酒酿」(チューニャン、と検索すると色々出てきました)を作る。次に、もち米から作った団子をそれに加えて煮て、完成!
チューニャンは手間がかかって難しそうだが、要は甘酒みたいなものだ。
「酒曲」は日本の酒麹のことだと書いてくれているが、なんだかイメージ画像をみると、日本の麹とは結構違う気がする。(調べたら実際違った。)でも仕方ない、手に入らないし。
諦めて乾燥の米麹を使うことにした。それに合わせて少し行程も変えた。以下の通り。
チュウニャンの作り方(参照したHPへ飛びます)
乾燥麹を使った「チュウニャン」の作り方
【材料】
・もち米:500g
・米麹(乾燥):15g(生麹なら30g程度)
・砂糖:大さじ1
・小麦粉:小さじ2
・純米酒:200cc
【作り方】
1./もち米を1昼夜水に浸しておく。
2./米麹と砂糖、小麦粉、純米酒をボウルに入れて暖かいところに半日~1日置き、発酵させる。
3./もち米をざるにあげて水を切り、芯まで火が通るまで蒸す(30分程度)か、炊飯器でうるち米と同様に炊く。
4./3を40℃ぐらいまで冷ましておく。(私はRさんのアドバイス通り完全に冷ましました)
5./2と4を密封ガラス瓶などに入れ、よく混ぜ合わせてふたをして発酵させる。この時水分が少ないようなら純米酒をひたひたになるまで加える。
※1日ぐらい置いて米が水分を吸って水分が少なくなったら、新たに純米酒500cc程度を加える。
6./夏場(28℃程度)なら2日、冬場なら4~5日で出来上がるので冷蔵庫へ。
※出来上がりの目安は、米の形が崩れ始めて表面が泡立つ程度。冷蔵庫で1~2ヵ月は保存可能。
そして、肝心の「桂花」とは「金木犀」のことらしい。Rさんはモクセイと呼んでいた。
でも、困ったことに「桂花」は日本ではなかなか手に入らない。Amazonで探しても、「桂花茶」しかなかった。
Rさんに、「桂花茶じゃだめかな?」と聞くと、「うーん、ちょっと違うと思います」と言われた。日常的には蜜漬けにしたものを使うんだって。
「それは日本では手に入らない」と伝えると、Rさんは「香りがよければ他の花でもいいと思います。さくらはどうですか?」と提案してくれた。
私は素敵な考えだと思い、すぐに桜の塩漬けを注文した。塩抜きをすれば十分使えそうだ。本当は砂糖漬けが良かったけど。
調理
Amazonからすぐに届いたので、早速調理。
チュウニャン作りは大変だけど、蒸し器はフライパンに皿を重ねて置くことで代用。
そして、冬なので4日ほど放置。正直不安だった。
しかし、様子を見ていると少しずつ柔らかくなり、いい香りがしてきた。おそらく成功。
このタイミングで、あ、花入れるの忘れてた…
と思ったけど、桜の場合は色も抜けやすいしあとで添えるくらいで良いかもしれない。キンモクセイなら初めからのほうが良いかも。
あとはレシピの仕上げ、団子を作って合わせていく。
茹で上がったら一度冷まして、また鍋に。今度はチューニャンと、塩抜きした桜の花びらと合わせて、煮ていく。
ここで味見したところ、わたしには少し甘みが足りなかったので砂糖を足した。
完成
盛り付けて完成!
味の感想としては、とても上品な、花の香りがするお汁粉という感じ。
もち米の粒が残っているチューニャンもいいけど、日本人にはいつもの甘酒で作った方がすんなり受け入れられるかもしれない。
あとは、牛乳か豆乳を足してみても美味しいかも。
それから、私はだんご粉を用いて作ったのだが、Rさんのレシピ通りもち米だけで作ったほうが絶対いいと思う。柔らかい方が良い。
まとめ
今回は桂花が手に入らず、日本風に樱花で作ってみたが、思いの外美味しかった。これも日中のコラボレーションということで、楽しい経験になった。
Rさんに写真を送ったところ、
「美味しそう!初めてで成功するのは凄い!」と言ってくれたので、作る行程が大変なのは当然のことだったらしい。
(見た目はともかく、味について私は正解を知らないので、成功しているのかわからないけど…)
何にしても、邪道からスタートしたわけで、一度は本物の「桂花酒酿丸子」をいただきたいものだ。ぜひ上海で味わえる事を願う。
補足
桂花を調べているとき、やたらと「桂花陳酒」という白ワインにキンモクセイをつけた中国のお酒がヒットした。キンモクセイは、正直あまり食用のイメージがない。けれどきっと好きになれそうなので、こちらも気になる。
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