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  • 八朔書房

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    自分の趣味、専門分野、ついさっき考えたことなど、 八朔会の皆さんが寄稿してくださった記事を雑誌のようにまとめています。

  • 日本語講師のあれこれ

    中国の大学の、日本語専攻の学生たちとの交流日記です🇨🇳🐼

最近の記事

「知らんがな」で自分を守る

知らんがな!が口癖の関西人ネキが社内にいる。 めんどくさいことを押し付けられそうになったら、知らんがな!と叫んでいるネキ。 ほんまそれな!と心の中で応えるわたし。 最近、口癖がうつってわたしもよく使ってしまう。 聞いてない話。興味のない自慢話。過剰な不幸自慢。同情させようとしたり、賞賛させようとしたり、いやしらんがな。 わたしに関係ないわとスパッと断てる気がして、気楽になる気がする。

    • 東京で打ちのめされた飲み会の話

      東京っていろんな地方からの人がたくさんいるのに、絶対に交わらない人がたくさんいるのが不思議。今日、参加した飲み会は、たぶんその交わらないはずの人たちと交わるような会だった。初対面の人が3人、元同僚が1人。元同僚に「いつも飲んでる人たちがいるけど、よかったら来る?」と誘われて、ノコノコついていってしまった。 ダメだった点 ・皆標準語なのに一人だけ関西弁だった。 耳から入る自分の声を安心材料にしようとしてるのか、 明らかに浮いてるのに、関西弁で話し続けてしまった。 全員落ち着

      • オードリーがドームライブやるって。生きよう

        上京する前日、憂鬱な気持ちで寝付けず、午前一時を迎えた。 せっかく起きてるしリアタイするか、とラジオをつけたら、若林さん一人の声しかしない。あれ? もしかして、春日さんまた何かやらかして謹慎してるんじゃ…と思いながら聞き続ける。まだまだ、普通に話し続ける若林さん。 Twitterをのぞくと、リトルトゥースがざわついていた。 「謹慎?」 「遅刻?」 でも、それにしては淡々と進行している。 うわずった春日さんの声がして、誕生日サプライズ!という流れになった。 いやいや、

        • 山下泰平『まいボコ』(「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本)とデジタルアーカイブ

          今回は、抗いがたい魅力にあふれた本、『「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本』(通称『まいボコ』)が、いかに最高か、そしてこの本の素地ともいえるデジタルアーカイブについて、語りたいと思います。 この本、一度目にしたら忘れられないタイトルですよね。 著者本人による、内容を説明した文を引用します。 明治娯楽小説、という一大ジャンルがかつて存在したということ自体、私にとっては新鮮な知識でした。

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        記事

          オンライン日本語教師のためのおすすめツール~もっと早く知りたかった~

          こんにちは。私はコロナ流行後に日本語教師になったため、すべての授業はオンライン形式で実施しました。 やっと慣れてきたかな…というところで任期満了となり、 「最初からこのアイテムを知っていれば…!」という悔しさを感じております。 そこで、せっかく知り得た情報を、書き残しておきたいとおもいます! ただ、思い出しながら書き散らしているので読みづらいかもしれません。 (もし、補足があればあとから付け足します。) 少しでも参考にしていただければ幸いです。 所属していたのは、中国の

          オンライン日本語教師のためのおすすめツール~もっと早く知りたかった~

          「先生、わたしは えびが こわいです」の謎~日本語の発音を考える~

          ある日の授業で 些細なことだが、記憶に残っていることがある。 ある日、授業で、嫌いなものや怖いものを、皆に尋ねた。 すると、ある一人はこう言った。 「先生、わたしは えび が きらいです。」 私は「なるほど、えびですね」と、頷き、また質問した。 「えびが嫌いなんですね。どうしてですか?」 「ううん…あのう、えびは、こわいです。」 その子は、少し恥ずかしそうに、そう口に出した。 えびが、「怖い」? 怖い…怖いか? いや、確かに怖いし気持ち悪いかもしれない。人に

          「先生、わたしは えびが こわいです」の謎~日本語の発音を考える~

          上海のデザート「桂花酒酿丸子」を日本風にアレンジして作ってみた

           私は中国の大学生に期間限定で日本語を教えていて(オンライン)、その縁で1人の学生と言語交換を行っている。  具体的には、私が中国語、学生(Rさん)が日本語を使ってのチャットのやり取りや、ボイスメッセージで発音の練習などを行っている。 会話の流れで、好きな食べ物は?という話になり、Rさんのおすすめデザートを作ってみたところ、思いがけず素敵な日中合作レシピを生み出してしまった。 謎の甜品(デザート)「桂花酒酿丸子」 言語交換とはいっても、内容は他愛もない会話だ。 ある

          上海のデザート「桂花酒酿丸子」を日本風にアレンジして作ってみた

          祖母にもらった「熊みたいな消しゴム」―学生の作文より

          今日も学生の作文の添削をしていたら、面白い表現を発見した。 「熊みたいな消しゴム」。 初めに読んだときは、どういう意味だろうかと思った。けれど作文をもう一度読み返すと、作者である女子学生の、愛情に満ちた思い出を知ることができた。 はじまりはこうだ。(文章は一部訂正、省略しています) 中国の家庭では、両親は共働きで、祖父母に育てられることは一般的なことらしい。そして、中国では農村に生まれたら結婚しないかぎり、ずっと農村の出身として生きていかねばならない。都市生まれと農村

          祖母にもらった「熊みたいな消しゴム」―学生の作文より

          エリート女子に教えてもらったこと―中国の日本語プレゼン大会で

          10月某日、中国で行われた日本語プレゼンテーション大会にオンラインで参加した。 私は出る方ではなく、指導した学生が出場するのを見守るためだった。計5時間近くの長丁場だったが、あっという間に感じた。 私が指導を担当させてもらった女の子(李さん)は、えげつなく成績優秀で、同時に可愛らしさも持ち合わせているスーパーウーマンだった。 当たり前のことをすべてやる 李さんは、とことん「基本をしっかりやる」という精神で、勉強に向き合っているようだった。 それを感じたのは、彼女の大

          エリート女子に教えてもらったこと―中国の日本語プレゼン大会で

          中国人の学生に「あなたの故郷について」の作文を書いてもらった

          いまわたしは、日本にいながらオンラインで、中国の外国語大学にて日本語講師―「老師」をやっている。 日本語でいえば「先生」。英語でいえば「teacher」。信じがたい。 画面越しでも、「はい、せんせい」と返事されるたびに、背筋が伸び、作り笑いをしてしまう。少し偉そうな口をききそうになる自分が怖く、勝手に落ち込む。 それでも、最近、学生との距離が少しずつ縮まってきた気がして(これをオンラインで感じとるのは本当に難しい…)本音がいえるようになってきた。 たとえば、以前はスケ

          中国人の学生に「あなたの故郷について」の作文を書いてもらった

          「三行で撃つ」、テンガロンハットのすごいおじさんを見た

          (これはぜひ書き記さないといけない、と思う話をきいたので、忘れてしまう前に急ぎで書いています。読みづらかったらごめんなさい。) 9月の中頃、奨学金をもらっている団体の、ジャーナリスト関連の研修会にオンラインで参加し、近藤康太郎さんという方のお話を聞いた。 画面に現れたその方のお姿は、なかなかパンチがきいていた。テンガロンハットに、派手なシャツ。そしてずーっとウロウロしていて、「この人間違えて映り込んでる?」と思うくらい自由にしていた。 近藤康太郎さんは、朝日新聞の名物記

          「三行で撃つ」、テンガロンハットのすごいおじさんを見た

          梅崎春生「オリンピックより魚の誘致」『怠惰の美徳』:感想―「つまりは日本近海を魚族のパラダイスにするのである。」

          戦後派を代表する文人、梅崎春生のエッセイ『怠惰の美徳』が面白い。 どこが面白いかというと、徹頭徹尾やる気がない言説なのに、妙に説得力があるところが面白い。 大学にはほとんど出席せず、志望した新聞社は全滅。やむなく勤めた市役所で毎日ぼんやり過ごして給料を得る。一日十二時間は眠りたい。できればずっと布団にいたい・・・。(文庫本裏表紙より) ああ、よーくわかる。私は「何も考えずにスマホをいじって、情報をナナメ読みする時間」は、かならず欲しいと思ってしまう。どれほど忙しくても、

          梅崎春生「オリンピックより魚の誘致」『怠惰の美徳』:感想―「つまりは日本近海を魚族のパラダイスにするのである。」

          ため息ついたら、ラジオ

          初めてお祈りメールを受け取った。 内容を確認して、すぐ消した。 ため息をつくのも悔しい。でも抑えられなかった。 全然いきたい会社じゃなかったしいいや、と心の中で思っていても、ちょっと辛い。 時間を返せ。 そして思った。もしこれが志望度が高い会社だったら、ため息どころですんだだろうか。 そう考えると怖い。 怖くて、とりあえずラジオを聴こうと思いradikoを立ち上げた。 いつも聴いている、オールナイトニッポンやジャンク、色々な深夜ラジオを聴いてみた。 だめだ、余計不安

          ため息ついたら、ラジオ

          『もの喰う女』:感想 ―「食べることが一番うれしいわ。おいしいものを食べるのがわたし一番好きよ。」

           武田泰淳の『もの喰う女』という小説は、一度読むと、忘れられないような強烈な印象を残す。戦後間もないころに発表された小説だが、古臭くなく、短いのであっさり読めてしまう。そして作中に登場する食べ物がどれもおいしそうで、気になる。ー「ドオナツ」、「豆ヘイ糖」、「ハッカ菓子」、「アイスクリーム」、「ラムネ」、「渦巻パン」、「カツレツ」、「寿司」等。 しかし、食べ物の描写に気をとられていると、突然、わけのわからない結末に突き当たって茫然とさせられる。ただの食欲旺盛な恋愛小説かと思っ

          『もの喰う女』:感想 ―「食べることが一番うれしいわ。おいしいものを食べるのがわたし一番好きよ。」