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私が運転中に子どもに全力で手を振り返す理由

以前、宿泊勤務の休憩時間中に、こんなつぶやきを投稿しました。

電車の運転士の中でも、子どもへの接し方は様々です。気恥ずかしいと思う人もいれば、そもそも子どもが嫌いだから嫌な表情を隠さない人もいます。コミュニケーション能力が高い運転士だと、自分から子どもに話しかけに行ったりもしています。

私は自分からお客様に話しかけることはないですが、運転中や駅構内歩行中に子どもから手を振られれば全力で応えます。運転中ならサービス警笛も鳴らします。

サービス警笛は本来やっちゃダメなんですが、上司が乗っているときでも私は鳴らします。今のところ怒られたことはないですが、鳴らしたあとに「子どもに対してだけは許してください」と毎回謝っています。

私が子どもにだけは絶対に優しくすると決めているのには理由があります。

子どもに手を振られなくなったときが、鉄道業界の終わり

鉄道員って世間的には就く難易度が若干高いと思われています。(私は正直、技術や資格の面では他の専門職より低いと思っていますが)

また、肉体的にも厳しい職業で、それを業績の安定性でカバーして人気を保っていた業界です。

それがコロナ禍以降は安定が崩れ、むしろ運輸部門の収益が元から薄かったことが世間に露呈しました。

現在鉄道会社は急激に採用試験への応募者数が減り、中小・大手かかわらず人材の確保に苦慮しています。超過労働時間の制限強化問題でタクシー・バス・トラックばかりが注目されていますが、鉄道も2030年頃には社会問題化するのではというくらい人手不足が深刻です。

給料は大手に就職できなければ相当安いです。鬼のようなコストカットの連続、自動運転の技術開発促進により、職業自体の存続も危ういです。

もう、大人からは完全に人気を失った職業です。

それでも、子どもたちは相変わらず私たちに憧れの眼差しを向けてくれるんです。

子どもに手を振ってもらえる職業はレア

子どもに毎日のように手を振られる職業なんて、そう多くはありません。鉄道員、警察官、航空関係、テーマパークのキャスト……それ以外はあまり思いつきません。(たぶんもっとあるとは思うんですが)

noteを書いていても、プログラムのコードとにらめっこしていても得られない幸せです。私が運転士をしていて唯一の生きがいといっても過言ではありません。

中身のない、成長もしない、ただひたすらに繰り返し業務で社会の歯車に成り下がっている私たちを、子どもたちは「かっこいい運転士さん」と思ってくれているんです。

私はそれが嬉しくてしょうがないんです。

大人から見捨てられた今、子どもに夢を見せなければならない。
私はブサイクな顔ですが、見せる姿はせめてかっこいいものでありたい。

もう、憧れ以外で就こうと思える職業ではありません。

子どもからも見捨てられたら最後。もう誰も日本の鉄道輸送を担ってくれる人材は現れなくなる。私は本気でそう思っています。


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