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朝コーヒーを淹れる
毎朝私はコーヒーを淹れる。自分で飲まなくていい、大切なのは毎朝コーヒーを飲むことではなく淹れることだ。だから「朝起きてまず口にするのはコーヒーです」とかっていうおしゃれな話じゃないのは先に言っておこう。
大体は同じレシピでコーヒーを淹れる。コーヒー豆の分量にたいして16倍のお湯。例えば14gの豆に220mlのお湯ということだ。これは主に浅煎りの豆の時。深めの豆は少しお湯の量を増やす。ボディーが重すぎるコーヒーは好みでないから。
飲む人が自分だとわかっていれば少し冒険することもある。1:16の法則から少し脱線してみて、理想の味を抽出することができなかったとしても別に一日が台無しになるわけでもない。そもそも私はそんなひねくれた人間ではない(と思っている)し、カリスマ性みたいなものもたいそうないからだ。第一、そう、もうおわかりであろう、朝はコーヒーは淹れるために淹れているから。飲むためではない。
私が淹れたコーヒーを飲んでいる人には特にこれということは求めていない。無理矢理おいしいとコメントしなくていいし、せっかく淹れてもらったから何も淹れずにいただきますね、なんて気遣いもいらない。コーヒーは嗜好品だから自由に調整したりすれば良い。ミルクをどっぷり入れても、砂糖を入れても、ちょっと濃いから薄めても特にあなたを嫌いになったりしません。
コーヒーが好きな人、コーヒーに興味がある人、焙煎士の方だったら私が淹れた一杯について語るかもしれない。語らないのも良いんじゃないか。好きな人の話でも良いし、楽しみにしている映画の話でも良い。言葉を交わさなくても良い。コーヒーを飲んでいる間だけ、少しでも余裕を感じれればもうそれで充分だから。
この文を読んであなたが少しでもコーヒーを飲みたくなった、もしくは淹れたくなったらもうそれで私は満足だ。機会があれば、是非いつかあなたの朝の一杯を淹れさせてください。