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【詩】「Hands」

そっと手を振った
君といつか繋いだこの手で

行き先を指し示すこともできず
僕は迷ってばかりだった

胸はずっとずっと焦がれているし
喉がカラカラになるほどに渇いているけど

独りの部屋で震えている
もう冬は遠くなったのに

君が求めてた関係へと
僕は手を引っ張っていくことができず

そのとき僕は君から目を逸らした
好きになればなるほど
大きくなっていった不安に呑まれた

この広い世界で出逢ったその奇跡を
見も知らぬ他人だった二人が近づいて
いつか手を繋いだその軌跡を

信じ切れなくて僕は力なく俯いた
君は涙零しながらも僕を見てたのに

君が僕に諦めて手を離したときに
ようやく僕は自分の過ちに気が付いた

手を伸ばしても君は首を振るだろう
僕がいつか君に首を振ったように

だからそっと手を振った
もう失われたその温もりに
君といつか繋いだこの手で

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