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空
空を見上げながら歩いていると、何も感じなくてもいいような、そんな気持ちになれる。ものごとはすべて空であり、からっぽでもある。なんて、そんなたいそうなことを考える必要もない。ただ、あるようで、ないようで、それでもそこに存在を認知されている。見えるのに、見えない。そんなあいまいな、ふわふわした感覚が、そもそも何を感じる必要もないことを、伝えてくれるように、思えた。
そうやって上ばかり見ていると足元を掬われ、下ばかり見ていると押しつぶされる。そんな理不尽な常に辟易しているのが、むなしくもなる。
上ばかり見ているからって、気持ちが上を向いているわけではない。それは逆も然りで、けれど。
私の場合は、どちらにしても……。
とたんに風を意識すると、首を縮こませて小さくなる。そこまで寒くはないのに、ちゃんと冷えを感じるのが不思議にも思った。
ぐるぐるとめぐっていくものが、何かーー何でもいい、何かをきっかけにして一瞬にして弾けてしまうのは、もともとたいしたことではないものなのであろう、ということを伝えてもいるようで、それは、それで、嫌な気持ちにもなる。
そんなものに振り回されている私が、本当にくだらないように思えて、仕方なくなる。
そう
そんな、ものなんだろう。
悩みなんて、悩む、という、ことなんて。
それでも、そこにとらわれ、心が蝕まれ、落ちて、思考に終わりのないこと。それはいつだって私のそばにいて、けっしてはなそうとはしない。どんなに無駄なことだとわかっていてもなお、気がつけば抱きしめられているーー私のほうから、抱き寄せて、いる、のかしら。
意味なんて、見出しているわけではない。
私らしく生きればいい、なんて、言葉をよく聞くけれど。そもそも、それこそが、私、なのかもしれない。すべて、私、すべて、私の一部、すべて、すべて。私を構成する、構成している。それこそが、私。なのだ、と……。
やっぱり、もう、どうしたらいいか、わからない。
空を見上げながら歩いている、空が私に落ちてきている、私は空で、からっぽで、どこにでもあって、どこにもない。
どこにも、いない。
あぁ、何も、考える必要はない。
何も、感じる必要なんて、ない。
そんなことばかり、ささやいてくる。
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