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動かない理由

 私はここから微動だにできず、ただ、座っている。

 いや、かろうじて上半身なら少し、動かすことはできる。腕や頭は特に自由で、振動さえ与えなければ何をしてもよい。

 それでも、私はここから、微動だにできない。

 それは外的要因が主であるが、私がそうしたいから、というのが一番であろう。とどのつまり、私の意思しだいなのだ。何をするのも、しないのも。それはあらゆることに言えるであろう。

 そうして、結局選んだものは、動かない、ということなだけだ。動けないのではない、動かないのだ。

 その先に何があるだろう。いや、先にあるものなんて、何もないに違いない。あるのはただ、今、この瞬間だけだ。この瞬間のためだけに、それを選択した。そんな、たいしたものではない。

 私がいつ動けるか、それは私が決めることでもあれば、私が決められることでもない。いつまで、というのは不確定要素が強すぎて読めないし、何度も言うが、終わらせようと思えばいつでも終わらせられる。それでも、私がすぐにそれをするとは思わない。

 なら、いつ?

 それは、私にもわからない。

 きっと、そのときは、ふいに訪れるであろう。何食わぬ顔でやってきてはただ通り過ぎる。そんなものだ。

 私はそれまで待ってみようか。それとも、時間を決めて動いてしまおうか。

 あぁ、でも、いつまでも、こうして見ていたい。

 私の膝を独占し、こうして動けないきっかけを作った君。私の膝は、安心するかい?

 頭を撫でながら、その愛くるしい寝姿を見つめる。

 いつまで、こうしていられるであろう。そのうち、ひょいっと起き出して、お腹すいた、って鳴き声をあげるに違いない。

 それまで、それまで。

 こうして、見つめていたいなぁ。

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ふみ
いつも、ありがとうございます。 何か少しでも、感じるものがありましたら幸いです。