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【 本心を明かせない 】

私には誰にも明かせず、一人きりで抱えてきた悩みごとがありました。
その始まりは10代の後半、おそらく高校3年生くらいだったと記憶しています。
「誰にも知られたくない」
「誰かに知られてはいけない」
「誰かと共有してはならない」
その悩みごとが誰にも理解されないものだと、私は確信していました。
だから長い間、ひた隠しにしてきたのです。

私は3年半ほど前からカウンセリングを受けています。
私は心理士さんに、何でも相談してきました。
ひどく落ち込んだとき、パニックのとき、そして命の危機に瀕しているときにも、心理士さんは助けてくれました。
だから隠しごとをしているという自覚が、私には全くなかったのです。
自分の心のうちを、全て吐露しているつもりでした。

ここのところ私は、カウンセリングの効果を感じられなくなっていました。
どんな相談をしていても、毎回未消化のまま終わってしまうからです。
そしてその理由は、どんなに考えても見つかりませんでした。

私はカウンセリングで、思いの丈を吐き出しているつもりでした。
そうです。
「つもり」だったのです。
ひと月かけて私は、この事実に気づくことができました。
そのきっかけとなったのは、心理士さんのひと言です。
「やっと本心が出せたね」

誰にも言えず、誰かに知られることを恐れながら、私は何十年も生きてきました。
そんな私の凍りついた心を、心理士さんの言葉が一瞬で解かしてくれたのです。
寒さに震える私に、そっとブランケットを掛けて温めてくれた。
そんなほんわかとした温かで、幸せな気持ちになりました。
そして涙がとめどなくあふれ出しました。

私はこの悩みごとを、この先も誰かに打ち明けることはないでしょう。
自分の心の中にそっと置いておきたい。
大切に育んでいきたい。
これからもずっと、ともに歩んでいきたいと思っています。

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