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中学二年生の息子に読み聞かせをした話

中学二年生の長男は、勉強する姿をまったく見せない。

そう書くとカッコいいが、出来るだけ勉強をしないように生きているように見える。もちろん学校のテストの点数は極めて低い。まるで勉強が必要だと思っていない。思ってはいるかもしれないが、「勉強したくない」が圧勝している。日曜日の昼間、野球部が休みなのをいいことに、息子はだらだらと、スマホを見ることだけをして過ごしていた。

「勉強しなくていいの?」は、当然「うん」しか返ってこないから、言わない

息子は、先日、学校の社会見学で北海道赤平市にある「植松電機」という20名ほどの小さな町工場に行った。『NASAより宇宙に近い町工場 』という著書でも有名で、宇宙開発を通じて「"どうせ無理"を無くす」という素晴らしい理念を持っている社長の会社である。2004年からロケットの打ち上げ開発に取り組み、現在、世界に三台しかない無重力実験施設を保有し、国内外の研究者が集まる宇宙開発の拠点になっているらしい。息子がそこに行ってきたと聞いて、私は真っ先にその本を買って、読んでいるところだった。この本をぜひ息子に読んでもらいたい。どうすればいいだろうか。

「これ、面白いから読んでごらん」では、絶対に読まない。

日曜日の夜八時。私は息子とソファーで二人並んでいる。中学二年生、174センチにもなる息子に私は読み聞かせをしようとしている。

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実は、前日にもチャレンジしている。

「植松さんの本、読み聞かせしてあげようか」

「いや、今はいい」

一度断られている。


そして、日曜日の夜、再チャレンジである。
「植松さんの本、読むけど聞く?」

「うん」

おおおおおおおおお!

日曜日の夜八時。私は息子とソファーで二人並んでいる。中学二年生、174センチにもなる息子に読み聞かせを始めた。


読み進めていくと、息子は興味津々で聞いてくれた。途中、載っている「敷地の地図」や「施設の写真」を見ながら、「この建物に行った」とか「こういう感じの無重力だった」とか、実際その場で見てきたこと、聞いてきたことを教えてくれた。「あとでそのロケット見せようか?」と、部屋にしまい込んでいた工作したロケットを見せてくれたり。

序章だけでも、と思っていたが、盛り上がって第3章まで読み進んだ。妻もなんだか、その空気が心地よかったのか、後ろの椅子にもたれながら、私が読む話に耳を傾けている。

途中、私の想像や、解説を入れながら、たくさん脱線しながら、「コストってどういう意味かわかる?」、「ただで施設を使わせてあげるメリットって何だかわかる?」などと質問して、考えさせながら、会話をしながら読み進めていった。


テストの点数を上げるのもいいけれど、自分で興味を持ったものについて、自分で考えたり、調べたり、発見したりする道に、ぜひ導いていきたいものだ。


この読み聞かせも、その一歩になればいいなと思う。

そして、昨夜も、その続きを読み始めることに成功したのだが、気づくと、そこには妻しかいなかった。

根気が必要である。


 


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なさじ
いつも読んでいただきありがとうございます。