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校長室通信HAPPINESS~楽しい授業

 校長の特権は、何と言っても先生方の授業を毎日参観できること。こんな勉強になることはありません。自分だけ得するのもなんなので、最近教室を廻っている時に「なるほど」と思わず唸った授業の一部をご紹介します。

1年生算数 「問題のストーリーを作る」  

「いくつといくつ」というお勉強。「6=🔲と5」というような問題です。ここでは量感覚をつかませるために、「算数ブロック」という具体物を使って理解させていきます。ところが、この操作さえもおぼつかない子がいます。ある学級では「操作」の前に、まず「思考」の整理をしていました。「何を考えるのか」をはっきりさせるのです。書写カメラの画面にはブロックを6個持った先生の両手が映っています。「何個持ってる?」「6個!」。次に先生は、ブロックをごちゃごちゃっと混ぜて、右手だけをパッと開く。そこには5個のブロック。「こっち(握っている左手)には何個入っているでしょう?」と聞きます。子どもたちが「1個!」と言うと、左手をパッと開いて、「正解で~す!」とほほ笑む。子どもたちは「やったー!」と大喜び。これを何回も何回も繰り返していました。これは凄いですよね。だって「6=🔲と5」という問題に「ストーリー」をつけて、動画みたいにしちゃったんですから。このように、子どもたちの頭の中にイメージを持たせることは、「数量関係」の指導では鉄則です(絵、図、線分図などもあります)。「先生の両手」は、子どもたちが問題を解くためのわかりやすいイメージになりました。 

4年生体育 「運動量を増やすために…」 

 4年生で取り組み始めた「走り幅跳び」の学習で、最も厄介なのが「測定」です。「跳んで測る、跳んで測る…」を繰り返していると、子どもたちの運動量が激減します。じゃあ、いちいち測定しないでどんどん跳ばせるのがいいかというと、子どもたちは自分の変容が分からないからそのうち飽きてしまいます。その問題を解決すべく、4年生は砂場に50cm間隔で数本のゴムひもを張って、子どもたち自身がどこまで跳んだかが分かるようにして、どんどん跳ばせていました。これなら「跳んだ距離」を確認しながら運動量も確保できます。私が見ていた10分で、1人10本以上跳んでいました。 

5年生国語 「即時フィードバック」 

全員が立ってそれぞれに音読をしています。先生が子どもたちの頭を触ったり、肩を触ったりしながら、机の間を歩いています。全員が読み終わったところで、「頭を触られた人、声の出し方がとても良かったです。肩を触られた人、姿勢がとても良かったです。両方触られた人は両方良かったです。」と先生の言葉に、子どもたち全員がニコッと微笑みます。これを「即時フィードバック」と言います。その場での適切な評価は、子どもの変容を加速します。もちろん全員に即時フィードバックを行うには、教師の「明確な判断基準」+「スピーディな判定」が必要です。従って子どもたち全員がその評価に納得して「ニコッ」と笑うまでになるには、それなりの修業が必要です(だと思います…)。 

6年生算数 「学力向上の秘訣」 

 今6年生が勉強している「分数÷分数」はかなりの鬼門です。いや、「割る数の分子と分母をひっくり返してかけ算をしろ」と言えば簡単なんですが、学習指導要領はその「意味の理解」まで求めているんです。これは大人でも難しい。6年生のある教室では、隣同士で説明するという高度な活動を行っていました。子どもたちはノートを見ながら、隣の友だちに必死になって説明していました。実は「人に説明する」という行動は、学力向上にとってかなり有効であることがわかっています。アメリカの国立研究所が行った「人が何かを記憶したり、定着させたりするためには、どんな活動が有効か」という研究があります。それによると、内容の定着率は「講義5%、読む10%、視聴覚教材20%、実験教材30%、グループ討議50%、体験を通した学習75%」となっており、トップは「他人に教えた経験」でなんと90%でした。「学んだことを友達に伝える」というアウトプットトレーニングが、いかに大切かを証明する結果です。こんな地道な活動が子どもたちのかしこさを支えていくわけです。

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