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ドンデン返しを可能にする お助け言葉
「言葉」ってとても大事なものというのは、多くの人々の共通認識ではありますが、では商売の世界ではどのくらい影響が大きいのかということを過去の経験を元にお話しします。
私は長い営業の経験から言葉の威力というものに不思議さを感じてきました。
よく、言葉の暴力なんて言いますが、大きい声をする人がのさばるケースもありますよね。
営業の世界では営業トークという言い方をします。トークでもってクロージングをするわけです。
この営業トークはいろんな人がいろんな場面を想定してクロージングが成功するようにカテゴライズされていて、ビジネス関係では必須のもの、営業会社では経営資源といってもよいほど重要視されています。
でも、文脈より一つのセリフや言葉が文脈以上に想像をはるかに超えた結果を生み出すことを多くの人は知りません。
こんなことを言うとなにか壮大な話のように感じられるかもしれませんが、決してそんなことではなく、むしろ普段使いの言葉を「え?ここで言うの?」といったことを伝えたいだけなのです。
さて、それでは過去の例から・・
何度も書いています通り、私は学校を卒業したあと自動車の販売会社に入社し、セールスとして働き始めました。
まだ22,23歳の若者です。しゃべりも流暢ではありませんし、気の利いた誉め言葉なんかも知りません。そんな折、自動車を販売したお客様から一本の電話がありました。
すぐに来て車の調子を確認してほしいとのことでしたので取るものもとりあえずそのお宅に伺ったのです。
異音がするのでエンジンの音をみてほしいといわれ確認するも異常らしい異常は見当たりません。でもお客さんからすると気になるのです。
それではということで後日自社工場に預かり点検しました。それでも異常はありません。そこで上司にその件を伝え対処法を聞きました。すると、その上司は「問題がないのなら、こんなもんですって言え」とのこと。
そして上司に言われた通りに「こんなもんです」っていったのですw
私はそんな言葉では到底納得してくれるとは思っていなかったのですが、予想外にも「そうか、じゃ仕方がないな」と折れていただいたのです。
それまではどう説明しようか、どうしたら納得してくれるのだろうと考えることで若い私の頭の中は一杯だったのですが、その頭の中には存在し得なかった単純でしかも頼りない「こんなもんです」という言葉に助けられました。
いくらトークが切れていてもこの結果は導き出されなかったでしょう。
もちろんお客様も気分爽快になれたわけではないでしょうが、現状をそれ以上変えられない場合に使う言葉としては重宝します。
さて次。
お客様から施工するかどうか迷っている状態で、いくらかかるか問われました。あなたならどう切り返しますか。
「それでは見積りしてみましょうか」などが一般的だと思います。
私は「それでは予算どのくらいか出してみましょうか」と言います。
つまり、見積りという言葉は使わず予算という言葉に置き換えます。
なぜなら、見積りと聞くと迷っている人にとっては金・支払い・金・支払いと連想しやすく、予算と言うことでよりソフトは印象を受け、見積りに対する抵抗が減るからです。
では次。
無事にその予算ができました。お客様に仕事の依頼をいただきたいのですが、どう言いましょうか。
残念ながら「ご契約いただけますか」は一番ダメです。
私なら「これでお申込みでよろしいですか」と言います。
このケースも上記の例と同じく、契約よりもお申込みのほうがずっとソフトな印象を受けます。
書類も、「契約書にサインください」より、「お申込みの用紙にサインください」でよいのです。たとえ書類が契約書であってもです。
最後になります。
この言葉は、受け取った本人がヘタすると一生覚えているほど脳髄に定着するウェポン的なものですw
実は私はこの言葉でどれほどのドンデン返しを体験してきたか。
こう言うと「またまた大げさに」と思うかもしれませんが、本当なのです。
では、お話ししましょう。
数十年前のことです。私の父がまだ現役で働いていたころ、職場に一人の中国人男性が入ってきました。父と同じ部署に配属されましたが慣れない生活のためよく面倒をみていたようです。
ある日父が私にボソッと言うのです。「あのなあ、職場の中国人の人な、オレに先生、先生って言うんだよ。オレ先生でもないのにな」と。
そういう父の表情は明らかに喜びを隠せない感じなのです。
そうなんだ、先生と呼ばれると嬉しいものなのかなとその時はそんな印象でした。でもこれって使えるかもと考えました。
当時の私はブラッキーな訪問販売会社で営業をやっていたので、毎日毎日朝から晩まで飛び込み訪問に明け暮れていました。
あるとき、飛び込んだ先のお宅の玄関先で男性と立話しをしていたのですが、ぶっきらぼうな感じのご主人なので帰りかけたのです。
たまたまお仕事を聞きますと筆文字を書く仕事だそうでした。
最近は減りましたが、学校の体育館に掲げてある校歌の文字なんかを書く珍しい仕事です。私はどんな字を書くのか見てみたいと思い、書いた物を見せてもらうようにお願いすると家の中に入れといいます。中に通され数々の書を見せてもらいました。
その時に「先生」という言葉が浮かんだのです。
で、その先生という言葉を使ってみました。会話の中に先生を織り込んで話すようにしたのです。
するとそのご主人の態度が徐々に軟化していくのがわかります。結果的に家を出る頃には仕事の依頼までもらっていました。
まさにウェポン(兵器)です。
それからは、大学の教授や教員でなくても少しでも専門性の高い仕事をしている人を「先生」と呼ぶことにしているのです。
誰でも先生と呼ばれて嫌な感じを覚える人はいないと思います。人によっては一生覚えていてもおかしくないほどインパクトのある言葉だと断言できます。
あなたもここ一番大事なシーンで今日お話ししました言葉を使ってみてはいかがですか。あるいはあなたの引出しにそっと入れておくのもいいかもしれません。
言葉は使ってみて初めて効果がわかるものです。
ご使用の際はよく容量を守ってお使いください。
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