退職面談は、退職者から会社の課題や職場環境の改善点を知る絶好のチャンス
退職面談は、退職者から会社の課題や職場環境の改善点を知る絶好のチャンスです。
しかし、退職する本人も多くの場合「今さら角を立てたくない」「もう退職するんだから自分には関係ない」などの理由から、本音を言わずに面談を終えてしまいがちです。
どのようにすれば退職者の真意を引き出し、会社の改善につながる意見を得ることができるのでしょうか?
なぜ「本音」を引き出すことが重要なのか?
退職面談で本音を引き出すことは、離職原因の根本を知ることで今後の離職防止策につなげたり、職場環境や人間関係の課題を明確にする、という意味があります。
特に、特定の部門で退職が続いている場合などは、何らかの改善が求められている可能性が高いことから、退職に隠れている原因を探る必要があります。
また表面的な「待遇」や「仕事量」だけでなく、内在的な理由、たとえば人間関係や仕事の達成感の有無などについて知ることで、他の社員の働きやすさ向上に役立てることができます。
本音を引き出すための準備
本音を引き出すためには、面談の準備段階から工夫が必要です。
退職者の心理を理解し、話しやすい環境を整えるように準備します。
退職者は、会社に対して不満や不安を抱えている場合があり、本音を打ち明けることに抵抗を感じるかもしれません。そのため、まずは退職者が安心して話せるような信頼関係を築くことが重要です。
具体的には、以下の点に注意します。
感謝の気持ちを伝える:これまでの貢献に対する感謝の気持ちを述べ、退職者への敬意を示します。
面談の目的を説明する:「あなたの意見は今後の改善に役立てたい」という意図を明確に伝えます。退職者が自分の発言が将来の職場改善につながると感じれば、より積極的に意見を出してくれる可能性が高まります。
傾聴の姿勢を示す:相手の言葉に耳を傾け、共感する姿勢を示します。
非難や否定をしない:退職者の意見を尊重し、否定的な態度をとられないようにします。
守秘義務を守る:面談内容の confidentiality を守り、安心して話せる環境を作ります。
段階的な質問で深掘り
質問は、いきなり核心を突くのではなく、段階的に深掘りしていくように構成します。
まずは会社への意見や感想を聞くなど、一般的な質問から始めます。
その後、退職理由、仕事内容、職場環境など、具体的な質問に移行します。さらに退職理由の背景や、改善点に関する具体的な質問をし、最後に重要な点や不明点を再確認する、といった構成です。
言葉以外のサインも見逃さない
面談時には、言葉だけでなく、表情や仕草、声のトーンなど、非言語コミュニケーションにも注意を払います。
相手の目を見て話すアイコンタクト、相手の言葉に理解を示すうなずき、 温かい雰囲気を作る笑顔、適度な相槌で話を促す、そして重要な点はメモを取ります。
状況に合わせた質問で本音を引き出す
面談時は話の流れに合わせて柔軟に質問を組み合わせて、本音をできる限り聞き出すようにします。
「退職を決めた一番の理由は何でしたか?」
「他に何か理由はありますか?」
「現職での経験の中で、特に満足していた点と不満だった点を教えてください」
退職者がざっくりとした意見しか言わない場合、さらに掘り下げる質問をします。たとえば、仕事量について「多かった」とだけ答えられた場合には、その背景にある要因も聞いてみます。
「仕事内容で何か不満に感じていたことはありますか?」
「業務量が多いと感じる場面は具体的にどんなときでしたか?」
「業務負担が軽減されるとしたら、どのようなサポートがあれば良かったと思いますか?」
「職場の人間関係で何か困ったことはありましたか?」
「会社の制度や福利厚生で改善してほしい点はありますか?」
「キャリアパスについて、どのように考えていましたか?」
「仕事とプライベートのバランスは取れていましたか?」
「ここが不満だった」と聞いて終わらせるのではなく、「どのような改善があれば、今後他の社員の定着につながるか」を退職者目線で考えてもらいます。
「会社の良い点はどんなところだと思いますか?」
「職場の雰囲気はどうでしたか?」
「上司や同僚とのコミュニケーションは円滑でしたか?」
「業務量や労働時間について、どう感じていましたか?」
「研修制度は役に立ちましたか?」
「スキルアップや育成の機会は十分でしたか?」
「人事評価制度について、どのように感じていましたか?」
「今後、同じような不満を持つ人が出ないようにするためには、どのような改善が必要だと思いますか?」
「あなたのポジションに新しく入る人が働きやすくなるためには、何がサポートされると良いでしょうか?」
「今後どのようなキャリアを築きたいと考えていますか?」
質問をする際には、あくまでも退職者に話してもらうのが目的ですので、
・一方的な質問にならないようにする
・誘導尋問にならないようにする
・個人情報に関わる質問は避ける
・プライバシーに配慮する
に注意しながら面談を行なっていきます。
面談で得た情報を改善に活かす
退職者が話してくれた意見を、今後の組織改善の材料にするためのアクションを検討します。
面談内容をもとに具体的な改善策を検討し、必要に応じて組織内で共有します。たとえば、人間関係や部門のリーダーシップに関する課題があれば、その部署に対して対応策を検討する必要があります。
また退職理由として挙げられた課題が他の社員にも当てはまるかを定期的にチェックすることで、さらなる離職を防ぎ、働きやすい職場の維持につながります。
退職面談で本音を引き出すためには、信頼関係の構築と効果的な質問、そして温かく中立的な姿勢が欠かせません。質問の仕方ひとつで、退職者の意見を会社の成長の糧とすることができます。
退職は一見ネガティブな出来事に思えますが、その裏にある本音から、職場の改善と従業員満足度の向上に役立てましょう。
【今日の問いかけ】
今の職場で働き続けている社員が退職者と同じ悩みを抱えていないか、どうやって確認していけばよいでしょうか?
まずは質問に答えて、必ず言葉にして書き出してみてください。
ひとつひとつの質問に丁寧に向き合うと、新たな気付きと行動が生まれてきます。
今日の問いかけへの皆さんの答えを、ぜひコメント欄にお寄せください。
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