- 第17話 - 初めての乗客にパニック寸前|タクシー同乗指導1日目

やあやあ。
Nariです。

         \\最年少//
          \\女子//
  \\\元ペーパードライバー///
タクシードライバーとして働いています。

前回の続きです
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若い女の子のドライブが続きます。
のんきにスマホで音楽も流しちゃって爽快です。
しばらくすると運転にも少し慣れ、
キョウコ先輩と都内観光を楽しんでいました。

するとついに通行人が手を挙げました。
そうです。
お客様です。
や、やばい!と本気でビビります。

とりあえずハザードをたいて停車。
何も言わずにスライドドアを開けます。
こいつパニックになったな…と察したキョウコ先輩が、
ご乗車ありがとうございますと代弁してくれました。

2人しかいなかった空間に、
いきなり誰かが入ってきました。
急にものすごい緊張が襲ってきます。
ようやく落ち着きを取り戻し、
研修でやったマニュアルも完璧にこなし、
なんとか事なきを得ました。
目的地まではワンメーターくらい。
お客さんを降ろし、安全なところで停ります。
キョウコ先輩が
「まぁ、流れはこんな感じ。」
と笑顔で言いました。

できるか!

そうこうしてるうちにサラリーマンが乗ってきます。
どんどん乗客が増えていきます。
それもそのはず、今は17:00。
退勤時間に突入です。
毎度、キョウコ先輩に助けてくれオーラを放ちます。
何人か乗っては降りての繰り返し。

タクシー運転手にとって致命的ですが、
全然道がわかりません。
地理試験の成果が発揮できません。
極度の緊張のせいか、頭が真っ白になります。

虎ノ門付近で手が挙がりました。
オフィス街なんて特にわかりません。
再び助けてオーラを助手席へ放つのでした。
キョウコ先輩が小さい声で道順を全部言ってくれたので、
それに従い進みます。
あまりにもそんなこと言ってられないようなお客さんも中にはいました。
仕事終わりなのか、カリカリしています。
またもやパニックになりながらキョウコ先輩を横目で見ると、右か左かまっすぐか、手信号を出してくれて、
何とか事なきを得ました。

ひとつ、思いました。
タクシーに乗るお客さん、
こんなにも会話しないんでしょうか?
誰とも世間話をしませんでした。

タクシーになぜ二人もいるんだ?
しかも女の子

誰がどう見ても意味不明なこの状況に
誰もツッコミもしません。
それほど無関心なのでしょうか。
それとも私の影が薄すぎるのでしょうか。

日が落ちて、夕方になってきました。
同乗指導では道や交差点はもちろん、
ねずみ取りに遭いやすい箇所、
事故が起こりやすい危険な箇所、
休憩する場所、
休憩時間の配分、
トイレの場所などを教えてくれます。

キョウコ先輩がよく使うらしい休憩場所にやってきました。
確かにたくさんのタクシーが停まっています。
標識までもタクシー除く駐停車禁止の表示です。
今日からそんなところの仲間入りですね。
そこで教習所でも全然できなかった、
大の苦手な縦列駐車をしなければならないことに。
これができなければ休憩さえもできません。
バックしようとシフトレバーを操作したその時でした。

バックモニターがない

感覚とサイドミラーを駆使して操作しないとならないのです。
私は超焦りました。
キョウコ先輩に、
「右にハンドル切って!
あぁ!行きすぎ!ブレーキ!
左切って!ドライブに戻して!
前にでて!そうそう!」
と叫ばれます。

そうこうしてるうちにようやく駐車できました。
休憩するのも簡単にはいかないこの状況に、
いらだちも覚えました。
車から降りてまずは近くのトイレに行きます。
しかも汚い。
都内にはトイレが全然ありません。
死活問題すぎる。

生理の時なんてどうなるのでしょう。
どうやら女性社員向けに生理休暇があるらしいのですが、
本当に口だけらしく、
あんまり前向きに取らせてくれる雰囲気じゃないのだとか。
やっぱり男性が圧倒的に多い業界なので仕方ないんですかね。
まさにジェンダー問題ですね。

トイレから少し歩いたところに、
キョウコ先輩がよく行くラーメン屋があります。
そこで夕ご飯を食べることになりました。
中に入ると、確かにタクシーの制服を着たおじちゃんたちが
それはまた美味しそうに食べています。
こんな感じで自由な時間に好きなところで、
ご飯を食べられるのは楽しそうだなと感じました。
同乗指導ではどんどんお客さんを乗せて、
営業収入=営収を稼ぐことがメインでは無いので、
いろいろなところを巡り、都内観光を楽しみました。

ついに深夜になりました。
通行人は1人も見当たらなくなり、
疲れたので一回仮眠することに。
もう回っていないパーキングメーターの隣で仮眠しました。
車内で寝るのは人生初。
キョウコ先輩は運転席で寝ると言うので、
後ろのシートでゴロンと贅沢に寝かせていただきました。

2時間くらい経ったのでしょうか。
「おはよう!」
いきなり起こされました。

えぇ、もう行くんですか…とあくびをします。
時刻は1:00。
いわゆるアオタンの時間にすでに突入。
ここでしっかり稼いでおくのがタクシーの秘訣らしいです。
入社後の研修もあって、とても規則正しい生活を送っていた私。
地元は田舎なので夜遊びなんてしたことがありません。
到底考えられない時間に自宅外にいました。
その事実が信じられなかったです。

次回に続きます。


ではでは。

nari

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