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夢の島熱帯植物館(東京都江東区・新木場駅)

東京都内にはいくつか大規模な植物園がある。最も最大規模なのは深大寺にある神代植物公園で、他にも新宿御苑の中にある温室や、小平にある薬用植物園、小石川にある小石川植物園など四季折々の顔を見せてくれる植物園は多い。その中でも特にインパクトのある巨大な温室を持っているのが夢の島熱帯植物館である。その名の通り熱帯植物が中心であり、熱帯植物が育生できる温度を一定に保つための温室は隣接する江東区新江東清掃工場から出る熱を利用している。

三つある印象的なドームにはそれぞれの展示エリアがあり、順路どおりに進んで行けば全てを見られる形になっている。というより外側からだと独立しているように見える三つのドームは内部でつながっているため、順路を普通に回っていれば区分けされているようには気づかないかもしれない。順路の途中には滝があったりトンネルがあったりと高低差も活かした展示内容となっていて歩いているだけで異国に迷い込んだようなちょっとした探検気分になる。

とにかくでかい

熱帯植物館、と称しているだけあり基本的に熱帯地域で生育している植物が中心。とはいえ熱帯といっても一括りではなく、ドームごとに生態している植物のエリアが一応は分かれている。最初のAドームは木生シダと水辺の景観。滝が流れているのはこのエリアになる。シダ植物を中心にして南方の花も咲いている。季節ごとに咲き頃の花を案内してくれているのもありがたいところ。

滝の裏も歩けるよ

トンネルを抜けた先にある次のBドームはヤシと人里の景観。順路の途中にある四阿のような家屋が特徴的で、家屋の中には祭祀で使われているだろうお面も飾られている。こちらのエリアには食卓でも見られるマンゴーやバナナ、ちょっと珍しいスターフルーツやドリアンといったフルーツの他に、チョコレートの原材料となるカカオがあったりと見ていてお腹が空いてくる植物が多くある。

スターフルーツ

橋を渡った最後のCドームは小笠原の植物とオウギバショウ。日本国内どころか東京都内でありながら普段なかなか訪れることの少ない小笠原諸島は、外来種との接触も少なく独自の生態系を持っており、固有種も多数あることから世界的にも貴重な植物が生育している。地上に出ている根の部分がタコの足のように見られるタコノキをはじめ、大きなオウギバショウが印象的。企画展でも小笠原の植物についての紹介をしており、世界遺産(自然遺産)となった小笠原諸島が外来種の流入を防ぐためにどんな対策をしているかなども紹介されている。

タコに似てるからタコノキ

ドームを抜けると食虫植物の温室と、屋外のオーストラリア庭園へと続く。植物園のアイドル食虫植物。だいたい植物園に行くとこれを見ないと満たされない。こちらではなんと丁寧に食虫植物の育て方に関する資料も配布している。モウセンゴケ、ウツボカズラ、ハエトリグサ、サラセニアそれぞれ栽培環境や水やり、肥料、植え替えなどが丁寧に説明がされている中、面白いのが「肥料」の注意書き。それぞれを抜粋すると以下になる。

・モウセンゴケ
肥料:必要ありません。虫も自然に捕まえるので与える必要はありません。
・ウツボカズラ
肥料:必要ありません。虫も自然に捕まえるので与える必要はありません。
・ハエトリグサ
肥料:必要ありません。虫も自然に捕まえるので与える必要はありません。
・サラセニア
肥料:必要ありません。虫も自然に捕まえるので与える必要はありません。

あまりにも無惨。
あまりにも無慈悲。

勝手に虫を捕まえるから肥料なんてやる必要なし、というこの強気に心から賞賛を送りたい。

肥料は何も必要ありません

特別展示室では小笠原諸島についての紹介とカカオからチョコレートへ生成するまでの工程を紹介している展示がある。また映像室では繰り返し熱帯地方の自然を紹介しており一休みするのも良いかもしれない。カフェーも併設されている。外にはハーブ園や睡蓮の池もあり、中だけでなく周囲も歩いていて楽しい。トイレはウォシュレット式。

遠くから見てもこの大きさに慄く


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