たばこと塩の博物館(東京都墨田区・本所吾妻橋駅)
たばこと塩の博物館といえば「たばこも大事、塩も大事」の標語でおなじみの「たば塩」の愛称で知られるミュージアムである。かつて日本専売公社が扱っていた「たばこ・塩・樟脳」のうち、たばこと塩に特化して紹介しており、100円という非常にリーズナブルな値段に関わらず半日でもいられそうなボリューム感のある施設である。久々に訪問することに。
今回は企画展として「江戸のおもちゃ絵」展を開催。2階にある企画展示室で児童文学の研究者であるアン・ヘリングが生前に収集していたコレクションを中心にして、江戸時代に流行した子供向けに作られた浮世絵「おもちゃ絵」を紹介している。
昔話を絵にしてコマで区切った漫画のような作品や双六、クイズ形式の判じ絵などがある中で、特に気に入ったのは組上げ灯籠と呼ばれるおもちゃ。平面に描かれた絵を切り貼りして組み立て、ジオラマのように組み立てる立体のおもちゃで、銭湯や名称地などが奥行きも含めて再現される。これは大人でも欲しい。
2階には他に常設展示室として塩についてを紹介する「塩の世界」がある。塩湖や岩塩といった世界の塩資源についてや(塩で作られた聖堂もある)、塩田や塩釜など日本の塩づくりについての展示、塩が人体にもたらす影響などを示した塩のサイエンス展示といったオール塩の展示室。また塩の映像ライブラリーやコンピュータで行う塩のクイズなど、塩のことを深く知ることのできるフロアである。
3階は打って変わって今度はたばこについて。常設展示室では「たばこの歴史と文化」と銘打って、たばこ文化の発生と伝播についてを紹介する。古代マヤ文明の中で発見された「たばこを吸う神」のレリーフから始まり、たばこ栽培のはじまりから初期の喫煙具、中世の大航海時代を経て世界中に広がったたばこ文化の歴史が紹介されたあとは、世界の喫煙具を一堂に展示するコーナーへ。芸術品ともいえるような精巧な作りの喫煙具が無数にある。別室のコレクションルームにも今回は喫煙具が展示されている。フロア全体が常設展示室となっておりかなり広い。
4階は図書閲覧室、5階は多目的スペースとして休憩・飲食ができるようになっている。多目的スペースの壁には専売公社の歴史とミュージアムの歴史が並行して紹介されている。ちなみに1階ロビーには渋谷にあった頃のミュージアムのジオラマも飾られている。また1階、3階、5階にはそれぞれ喫煙所があるのもポイントで、このあたりはさすがミュージアムの特色を示していると言えるかもしれない。トイレはウォシュレット式。