世界が変わる視点の見つけ方
佐藤可士和さんが、慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(SFC)で講義した体験をもとにまとめた本です。
自分も学生だったら是非受けたい授業だとおもわされた内容でした。
自分たちで手を動かし考えていくという身のある体験は若いうちにできるというのは幸せなことだと思います。
以下、感銘をうけたエッセンスを紹介します。
アウトプットがどのようなものでも、常に核においているのは
コミュニケーション。
デザイナーとしての専門領域は コミュニケーションのデザインであり、
そのコミュニケーションを最大化するメディアとして、グラフィックや空間があるという思考プロセス。
統括的にデザイン戦略をおこなうことで、問題解決の幅や精度が飛躍的に上がる。
■デザインはよりよい日常へのツール
世の中のあらゆる問題は、コミュニケーションの不具合に起因するものが多い。情報を発する側、受け取る側をつなぐコミュニケーション回路がからまったり、詰まったりしている状態になってしまっている。
そのことで意志が伝わらず、問題が余計に複雑化して、物事が前に進まなくなっている。
自分が考えていることを正確に伝えるためには、コミュニケーションにおけるプロセスを把握し、精査していくとともに、コミュニケーションそのものに明快な戦略がないといけない
デザインという視点、考え方を導入することで、コミュニケーション回路の不具合を取り除き、問題をパワフルに解決できることが多い。
デザインを広義にとらえれば、多くの人が使えるツールとなり、社会全体の中で問題解決の可能性は大きく広がる。
広義のデザインとは意匠的な技術ではなく、思考法のこと。
未踏領域におけるデザインというのは、「考え方を設計すること」であり対象が抽象概念である。
■コミュニケーションデザインフロー
①課題の発見
②コンセプト策定
③ソリューション(アイデア開発+実施プランニング)
ソリューションのもととなるアイデアについては、3つの視点から評価してみるとよい。
①問題を深いところでとらえることができているか?
②コンセプトに耐久性があるか
③アイデアに発展性があるか
また、ここでロジカルな議論まではできても、そこから先のソリューションへのジャンプがなかなかできないというと悩む人も多い。
そんなとき、ソリューションに導いていくために、心掛けるべきことは以下のものがあsる。
(1)問題を自分事化する
自分事化とは、その問題を社会的なものとしてではなく、自分の側にひきつけて考えること。
どこに自分事化する接点があるか考えて進めないと、リアリティを伴った説得力ある答えが導き出せない。
(2)自分は何を好きなのかに向き合う
自分の好きなこととは、自分の価値観と置き換えられるもの。好きなことがわかっていて、価値観が定まっているかが大事。
自分は、何が好きなのか?
を意図的に突き詰めてかんがえることで、自分の能力を最大化して、課題へのソリューションを導き出すことができる。
■プロジェクトの進め方
自分の主張を押し付けるではなく、相手の意見を傾聴する姿勢が必要。相手を論破するのではなく、相手にリスペクトを示しながら、相手から共感を引き出していくことが大事。
自己主張を超えて、チームにとってのよいゴールを、常に自分の中に描いておくことも大切になる。
仕事では相手と喧嘩はしないようにしましょう。相手の意見にいちいち感情的にならないこと。
あくまでも結果のほうが大事。チームがもめて、方向性がぶれることは避けるべき。喧嘩すると、最終的に自分が損をす。
チームワークが行き詰ってしまったら、相手の話をよく聞いてみよう。
何かをデザインする場合には、プロトタイプをどんどんつくって検証するというプロセスが大切。
最初のアイデアにいつまでもとらわれずに、すばやい検証サイクルを意識するとよい。
プロジェクトは、みんなで仲良く平等に、という立脚点ではなく、それぞれがリーダーの自覚をもって、結果に責任を負って、チームの能力を最大限に引き出していくもの。
前向きに議論にはいって、謙虚にかつ積極的に話を進めていこう。