【予防運動日記】宮本武蔵の五輪書におけるいい姿勢とは
五輪書は武道を齧ったことのある方なら必ず知っている宮本武蔵による二天一流の兵法が書かれた奥義書です。
宮本武蔵は巌流島での佐々木小次郎との一戦があまりにも有名ですから、五輪書を知らない人でも剣豪の名前は知っていますよね。
彼の書いた水墨画「枯木鳴鵙図」も有名ですから見たことのある人も多いで多いと思います。
この五輪書の中で、先頭態勢、つまりは戦いのための姿勢について記されている部分があります。
そこから、彼がどんな姿勢を良しとしていたかが分かるので見てみたいと思います。
参考にしたサイトはこちらで、すごく詳細に五輪書を解説されています。
あまりにもディープで、門外漢は近寄りがたい部分もありますが、信頼性はどこよりも高いのではないでしょうか。
さて、姿勢については水之巻 兵法の身なりの部分に記されています。
顔は俯かない、上を向かない、傾けない
顔を歪めない
目を剥かない:ぎょろっとした目ではないという意味
額に皺を寄せず、眉間に皺を寄せる
目の玉を動かないようにして、瞬きをしない
目を少し細めるようにして、のどかな感じのする顔つき
鼻すじはまっ直ぐにして、頤には少し前に出す気持
首は後ろの筋をまっ直ぐにして、頸に力を入れる
両肩を下げ、背すじをまっ直ぐ伸ばす
尻を出さず、膝より足の先まで力を入れる
腰が屈まないようにし、腹を張る
この中で、現代的な良い姿勢と関連するところと一致する部分が多いのは普遍的真理なのだなと思います。
顔が水平を保つというのは、斬新な記載です。
多くの姿勢の指導において、肩と耳を指標にした矢状面上の指摘が多いところが、武蔵は水平面を意識させているところに、驚きを感じずにはいられません。
流石というしか無いですね。
肩甲骨を下げ、首は長く、顎は引かずにリラックス。
そして、目は集中のため細目で眉間に皺は寄らせるということですが、見開かずこちらもリラックス。
腹を張るというのは、おそらく腹式呼吸での吸気時にお腹が出ることと同じだと思います。
武道ならではの張り感なのですが、敢えて横隔膜を下げ気味にしている状態だと思います。
緊張で腹筋が締まってしまうことの反対ですので、これもリラックス状態と近い感覚になります。
膝や足に力を入れるのは、伸ばしているのではなく、武道ですからやや曲げ気味なのだと思います。
足の詳細は記載がないので分かりませんが、力を感じるためには踵よりは前足部なのかも知れません。
このような脱力しつつ高い集中力を要する姿勢を武蔵は、日常からとっていなければいけないと言っています。
だからこそ、本当の戦でも逆に日常的なリラックス状態でいられると。
筋金入りの武術者ですね。
常にある種緊張感を持ちながら、身体はどのような状況でも自然体でいろと。
頭頸部の水平面でのニュートラルについては、流石でした。