カラヤンとベルリン・フィルのシューマンを、モノラル録音(第4交響曲)とデジタル録音(ピアノ協奏曲)で聴く

きのう聴いた曲。
シューマンのピアノ協奏曲と第4交響曲。
いずれもカラヤン&BPOの演奏。

ただし、録音の時期と方式がまるでちがう。
ピアノ協奏曲は1981年のデジタル録音。
一方第4交響曲は1957年のモノラル録音。

ピアノ協奏曲はレコード会社がドイツ・グラモフォンで、ピアノがツィンマーマンである。
ピアノもうまいのだろうが、カラヤンとベルリン・フィルの迫力がすごい。木管の充実ぶりが、特に耳を引く。
音の奔流に圧倒される。
もちろん”音楽”がなければいけないが、きちんと音楽的内容がある。
晩年の演奏だが、輝かしく、充実している。

第4交響曲はEMI。
この時期のカラヤンとこの会社となると、名物プロデューサーのウォルター・レッグが、カラヤンといえども録音を”スーパーバイズ”する(口出しして直させる)わけだが、おもしろいことにこの録音は、オケもプロデューサーも録音エンジニアも、”オール・ドイツ人”なのだそうだ。
レッグといえども今回は、ベルリンまでカラヤンを追いかけるわけにはいかなかったようである。
だから、カラヤンが”スーパーバイザー”である。

レッグがなかなかステレオ方式の録音を認めず、この時期のEMIはモノラル方式かステレオ方式か、録音によってまちまちだったそうだ。
ベルリンの録音スタッフがステレオ録音の機材を手に入れたのが1957年5月、この録音が同年4月の録音で、間に合わなかったとライナーノーツにある。
しばらく”お蔵入り”した録音だったようで、再発売が入盤後20年。
"historic" Berlin Philharmonic recordningsと銘打たれたセットの1枚になったそうである… 

残念ながらモノラルだが、”音楽”はすばらしい。
壮年期のカラヤンのパワーがよくわかる演奏になっている。
それと同時に、シューマンの”音楽”なのだ。
フルトヴェングラーが同曲を同オケで録音した歴史的名盤があって、昔聴いたものだが売ってしまった。
フルトヴェングラーのドイツの音が、残っているのかな…

きのうはこの2曲を聴き、その間、浮世の憂さを忘れてしまった。
音楽と音の奔流に、完全に心奪われてしまったのだった。


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