目をとじる。ここは…?
実家へ行く日は、いつものパン屋さんで妹と待ち合わせ。
喫茶室も常設されている、よくあるパン屋さんだ。
すごく混んでいるわけでもなく、全く人がいないわけでも
ない。
ほどよい空間だ。
一足早くお店に着いた私は、焼きたての塩パンと
淹れたてのコーヒーをトレイに乗せて席に着いた。
妹が来るまで本の続きを読もう。
少しすると、隣の席に人が座った。
本からは目をそらさず、耳で見た。
ステキな声。
外国人の男性が3人で会話をしている。
どこのお国かはわからないけれど、何となくフランス語に
聞こえてしまうわ、ボンジュール♪
店内はパリのカフェにいる様な音楽が流れている。
目をとじてみた。ここは…
「お姉ちゃん!お待たせー!」
そう。
ここはいつものパン屋さんの喫茶室。
聞こえてくるフランス語に(またね)と日本語で呟き、
本に栞をはさんだ。