納豆が食べられる様になったキッカケと苦手だった理由
「わたし、納豆巻き!」
バブル時代に流れていたCMだ。
お寿司屋さんのカウンター越しに注文する小林麻美さんがイケていた。
それを見た私は、食べたことのない納豆巻きに少し憧れた。
結局、憧れただけで実際には「納豆巻き」を
頼むことはなかった。
そもそも、そんなオシャレなお寿司さんへは
未だに行けていない。
納豆が食べられるようになったキッカケは、これではない。
事故で強制入院になった。
数ヶ月後にやっと食事がお粥をから念願の普通食に変わる時に看護師さんに聞かれた。
「苦手や食べられない物はありますか?」
「納豆です!それ以外は大丈夫です!」
なんだか胸を張って答えてしまった。
病院の食事は美味しかった。
クリスマスには鳥モモと小さなケーキ。
お正月にはおせち料理とお雑煮。
秋は焼いた秋刀魚がお夕飯だった時もある。
もちろん、量は多くなかったけど品があった。
食事で季節が感じられた。
食事制限がなかなったから余計にそう思えたのかもしれない。
ナースステーションの廊下に貼り出される献立に気づいたのは、車椅子で移動が出来る様になってからすぐのことだった。
そこで見つけた「炊き込みご飯」の文字。
金曜日の夜だ。
お米好きの私にとって最大のイベントになる!
はずだった。
当日。配られた私の御膳には、白飯がこんもり。
ん?白飯も好きだけど今日は金曜日よね?
6人部屋を見渡す。
皆様のお椀の色は深い緑色。
私のお椀は白飯に映えるいつもの黒色。
why?
何でも顔に出てしまう私に気づいた配膳係さんが
教えてくれた。
「苦手な物を申請した人のご飯は白米ですよ。」
翌朝の回診で「納豆食べます」を宣誓したのは言うまでもない。
それ以降は私も無事に炊き込みご飯を頂くことができた。
だいたい月イチで会える、炊き込みご飯。
だいたい2週間に1回の、納豆。
御膳に乗ってきた納豆を最初に見て気づいた。
私はそもそも納豆を食べたコトがなかったのだ。
糸引きも気にならない、匂いも気にならない、豆は大好きじゃん!
完璧に食わず嫌いだった。
そういえば、実家にいた頃には一回も食べたコトがない。
料理好きの母で味も抜群なのだが、本人が嫌いなものは絶対食卓にのらなかった。
納豆の存在をほぼ気にせずに暮らしてきたのだ。
そして、周りの情報を聞いているうちに、自分は嫌いだろうと勝手に刷り込んでいたのだ。
炊き込みご飯を愛していたおかげで、納豆を知ることになった。
もちろん、炊き込みご飯を食べる回数より遥かに納豆を食べる回数は多い。
いや、それにしても食わず嫌いだったとは。
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