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Photo by
scoop_kawamura
海の月と書いてクラゲ。夢は覚めるからちょうどいい。
すっかり忘れていたのに、また夢に出てきた。
少し驚いている心の自分は置いてきぼりでも、話は進んでいく。
相変わらず、夢ってそんなもんだ。
私は長い春だった元彼と歩きながら一生懸命に何かを話していた。
季節は初夏だろうか。緑が眩しい。
ふむふむと聞いてくれる元彼の周りには、クラゲが漂っていた。
置いてきぼりにされた心が今度はクラゲから目が離せなくなっていた。
私と元彼の周りを、ふわり、ゆるり、のんびりと3桶が漂っている。
「だから。一緒に行きたいからどこで待っていればいいの?」
おいおい。自分から何を言っているのだ。
私の心が慌てている。
クラゲに夢中になりすぎて大事なところを聞き逃してしまったようだ。
元彼に話をしているのはあの頃の私だけど、
心はあの頃から四半世紀以上越えた50overの今の私。
夢だけど焦るわ。
え。何がどうしてそうなったのさ…
「ニャアァァァ(ご飯ちょーだい💕)」
現実に秒で戻された。
一度や二度じゃないが未だに慣れない。
心がまだ夢に揺られたまま、私の身体はなきごえに反応してパブロフの犬のように、猫ズごはんを取りに行く。
「ねー。クラゲさんが気持ちよさそうにプカプカしてたんよー。」
記憶が全部消えないように、
猫ズ的には全くどうでもいい事を話しながら、
器に流れてゆくカリカリを見つめながら、
私は夢から覚めていった。