ショップブランドのあり方と今後
ショップに期待されている役割
今回の記事は強い顧客接点を持っている販売店のブランドについて考えていきたいと思います。物品を製造し、流通させて、販売していくスタイルを持つビジネスの場合、メーカーが直接購入者に販売しているパターンは稀で、歴史がある商材になればなるほど流通業者として販売店が販売していることが多いものです。(高級ブランドなどは直接販売があったりしますので一概にはいえません。)そういった場合は、販売店はお客様に直接対峙をしているので、強い顧客接点を持っています。
この販売店が購入者に期待されている役割は過去に遡って考えてみると大きく変遷していることがわかります。本来的に販売店があるのは、メーカーが直接売ることによる非効率(購入者は多くの種類の商材を買うには、多くのメーカーと売買行為をしなくてはならない、など)を無くすために存在しています。一つの店で多くの商品を買うことができる、ということが根本的な機能です。
その上で、販売店は品質の良いもの、価格が妥当なものを仕入れるという役割、いわゆる目利き的な役割も期待されています。あの店が扱っている商品なら問題ない、というような感覚です。
変わりゆく役割
ところが、購入者を取り巻く環境は大きく変化していることを受けて、販売店の期待されている役割もまた変わりつつあるのです。デジタル化が進んだ現代においては、メーカーの情報だけではなく、消費者自身が情報を発信できるようになったため、商品・サービスの製品特性や性能といった基本的な情報のみならず、評判などといったこれまで目利きに頼っていた情報が比較的容易にかつ膨大に収集することができるようになりました。その結果、販売店に足を運ぶ時点では既に購入する商品・サービスが決まっている、という購買行動も増えています。こういった購入者にとって大切なのは、目する商品やサービスが扱っている販売店がどこになるのか、という情報のみだったりします。このことは何を指すのかというと、
販売店が担う役割の減少 = 利益率の減少
につながっていくのです。この動きは購入者側の期待している役割だけではなく、メーカー視点からも変わります。メーカー自身も情報発信力が強化されているわけで商品・サービスにおけるブランドメッセージをきちんと発信していくことで認知を取っていくことはもちろん評判までもメーカーからコントロールしようとしています。ここでも広くその存在を知らせるという販売店の機能の一部がメーカーに移るわけで、仕入価格の情報などにつながっていくと考えられます。
ショップブランド確立の重要性
このような社会全体の環境の変化により、販売店は従来のような役割を変えることなく進んでしまうと、購入者、メーカー双方からの存在意義を失うことにつながります。そこで重要となってくるのがショップブランドの確立です。販売というものにはいくつかの付帯作業があります。耐久消費財の場合は修理やメンテナンスが発生するでしょうし、アクティビティなどを提供している場合は、そのきっかけ作りであったりします。
今一度振り返ってみると、販売店の一番の強みは顧客接点を直接持っていることです。この強みを活かすには、顧客接点である販売店がどのようなブランドメッセージを発信できるかが重要になります。平たく言うと、Aという販売店とBという販売店があったとして、Aで買うという行動を通じて購入者が得られるものを明確に設計し、発信していくことが求められています。これはショップブランドを確立するプロセスそのものです。今回の記事では文字数の関係でショップブランドの確立のプロセスまで書ききれなかったので、回を改めて書いていこうと思います。