人生オークション
「人生オークション」と「あめよび」の中編2作品による構成。
「人生オークション」
不倫、浪費癖の末に旦那にも三下り半されて大量の荷物と共に送り返された叔母さんと姪を中心に展開されていく。
姪は叔母のお世話係のようなカタチで、叔母さんの住む家に通いはじめる。
どうしょうもない叔母だったけど、家に通っている間に、浪費癖の叔母が溜め込んだブランド品や当時流行っていたものを、姪と共にオークションにかけ、断捨離して、叔母も姪も再生していく。
私も5月の連休から人生2度目の断捨離中なので、共感する部分もある。
捨てるのは物ではない。
執着した心なのだ。
「あめよび」
眼鏡屋に勤める美子とその筋では有名なハガキ職人のサンシャインゴリラこと輝男がラジオイベントのオフ会で知り合い付き合う。
結婚を前提に付き合っていた美子。
ただ輝男には「忌み名」「諱」という秘密があり、ある事がきっかけで、忌み名の意味を知った美子は輝男の秘密に踏み込もうとしていく。
うーむ、この小説は深いぞ。
人生オークションのノリが軽かったので、舐めていたけど、この小説は考えながら読まないと、本当に作者が伝えたい事が伝わらないんじゃないかな?
結婚は別にして、私には美子の性格が悪質な週刊誌の記者のように思えてきた。
ネタバレになるから、間は避けるけど、ラストシーンは空港だ。
書きたいけど、書かない。
作者がなぜ諱をテーマに書こうと思ったかはわからないけど、ラストシーンの意味のとり方は人それぞれで良いと思う。
だか、私は美子には最後まで共感できずに、最後までサンシャインゴリラという「名前」を貫く輝男の男気に共感した。
そして最後に、美子がしつこく知りたがっていた、輝男の忌み名(諱)を告げる。
美子は何を知りたかったんだろう?
人生オークションも面白かったけど、私はあめよびが好きだ。
考えながら読む、深い小説もたまには良い。
オーディブル22冊目読了。