ペルージャの大聖堂に併設する美術館: カピトラーレ・ディ・サン・ロレンツォ美術館(Museo Capitolare di S. Lorenzo)
ペルージャの大聖堂に併設するこのカピトラーレ・ディ・サン・ロレンツォ美術館(Museo Capitolare di S. Lorenzo)は、2000年に再公開された。
ここでは、大聖堂や教区の教会に保存されてきた11世紀から19世紀までの貴重な美術品が展示されている。
全てを紹介することはできないが、筆者が写真に収めたものを何点か、書いていきたいと思う。
まず、シエナ出身の画家アニョッロ・ガッディ(Agnolo Gatti; 1369-1396))作の「聖母子画」。
2番目に、シエナ出身のアンドレア・ヴァンニ(Andrea Vanni; 1332-1414)作の「聖母子画」。
この14世紀後半から15世紀初頭に制作されたと推定されている二つの聖母子像に共通するのは、聖母が赤子に乳を与えていることである。
「乳を与える」というモチーフは、尊いものとして14-15世紀のイタリアの絵画の中で繰り返し使われた。
さらに、赤子が手でつかんでいるオウゴンヒワという鳥は、死後も復活する魂の象徴と言われており、この赤子(=キリスト)が歩む運命を暗示しているかのようである。
3番目に、ルカ・シニョレッリ(Luca Signorelli)作「聖ホノリウスの祭壇状の飾り」(1484)。
ルカ・シニョレッリ(1445/50-1523)は、コルトーナ生まれ、ピエロ・デッラ・フランチェスカの影響を受けたこの時代を代表する画家である。
彼の人体表現と画面構成は、ミケランジェロに影響を与えたという。
ペルージャの他、シニョレッリは、故郷のコルトーナを拠点としながらもオルヴィエートやローマで制作を行っていた。
4番目に、ジャン・ドメニコ・チェッリーニ(Gian Domenico Cerrini)の『マグダレナのマリア』(Maddalena)(1662)。
マグダレナのマリアを描いた作品は、中世にもあったが、対宗教改革の時代に人気となったモチーフだという。
そして、ジョヴァンニ・アントニオ・サクラムッチャ(Giovanni Antonio Scaramuccia)作、『無原罪の御宿り』(Immaculate Conception)(1669)(右)。
他、18世紀の祭壇装飾に使われた布や、
17世紀の無名の画家による絵も。
大聖堂や国立ウンブリア美術館に隠れて、見落としがちな美術館であるが、ルカ・シニョレッリなどウンブリアを代表する芸術家たちの作品が目白押しである。
また、同じ宗教画であっても、時代とともに移り変わる描かれ方を楽しむこともできよう。
カピトラーレ・ディ・サン・ロレンツォ美術館(Museo Capitolare di S. Lorenzo)
住所:Piazza IV Novembre, Pegugia
料金:6ユーロ(割引料金5ユーロ:75歳以上の方、7-25歳の学生)
開館時間:9:00-14:00(10月1日から3月31日までの火曜〜金曜日)
10:00-17:00(10月1日から3月31日までの土日)
10:00-17:00(4月1日から9月30日までの火曜〜日曜日)
※月曜休館。
※12月25、26日、1月1日、パスクア、5月1日は休館。
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