Nao Masunaga
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【後編】ヴィラ・ファルネジーナ(Villa Farnesina):ルネサンスの宝石、ラファエロのフレスコ画を楽しめるローマの邸宅
【前編】に引き続き、【後編】でも美しい装飾を紹介していきたい。 1. 遠近法の間(The Hall of Perspectives)ラファエロがまだ助手たちと「キューピッドとプシュケのロッジア」のフレスコ画を描いていた頃、2階(the first floor)では、新婚である邸宅の主人アゴスティーノ・キージ夫妻を迎えるための改装作業が進められていた。 2階に続く階段を上がると、1519年8月28日に邸宅の主人である銀行家アゴスティーノ・キージが結婚披露宴を開いた「遠近法の
【前編】ヴィラ・ファルネジーナ(Villa Farnesina):ルネサンスの宝石、ラファエロのフレスコ画を楽しめるローマの邸宅
1. ルネサンスの宝石、ヴィラ・ファルネジーナ ヴィラ・ファルネジーナ、まるで宝石箱のようなフレスコ画に彩られた邸宅がローマのトラステヴェレ地区にある。 フレスコ画をデザインしたのは、ルネサンス期を代表する芸術家ラファエロ・サンティ。 シエナ出身の銀行家アゴスティーノ・キージ(Agostino Chigi;1466-1520)の命を受けた建築家バルダッサーレ・ペルッツィ(Baldassarre Peruzzi;1481-1536)にによって設計され、1506年に着工さ
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オリべッティ・ショールーム(Negozio Olivetti):ヴェネツィアのサン・マルコ広場をのぞむ、カルロ・スカルパの代表作品
ヴェネツィアのサン・マルコ広場の一角に、1908年創業にイタリア・ピエモンテ州で創業したタイプライターの製造・販売会社オリベッティ(Olivetti)の店舗兼ショールームがある。 この洗練されたデザインのオフィスは、2011年以降、イタリアの文化財を保護する団体FAIが管理する施設となっているとのこと。 今回のnoteでは、ヴェネツィアの建築家カルロ・スカルパの傑作として名高いオリヴェッティ・オフィスについて書いていきたい。 1957年、アドリアーノ・オリヴェッティ(A
マッシモ・デ・カルロ ギャラリー(Galleria Massimo De Carlo):ミラノが誇るポルタルッピ建築を利用したギャラリーがここに
ミラノのポルタルッピ建築といえば、ヴィラ・ネッキ・カンピリオ(Villa Necchi Campiglio)が有名であるが、このヴィラと同時期にポルタルッピによって建てられた邸宅が、チッタ・ストゥディ地区にある。 それは、カーザ・コルベリーニ=ワッセルマン(Casa Corbellini-Wassermann)であり、ドイツの製薬企業家アウグスト・フォン・ワッセルマン(August von Wassermann)の邸宅として、建築家ピエロ・ポルタルッピ(Piero Port
リブレリ・ジュソーム(Librairie Jousseaume):パリ2区、華やかなパサージュにある創業1826年の老舗本屋
パリ2区にある華やかなパサージュ・クーヴェル(いわゆるアーケード街)として有名なギャルリ・ヴィヴィエンヌ(Galerie Vivienne)。 イタリアのように天気のいい日が少ないパリでは、寒さや雨風をしのぎつつ、人々が食事や買い物を楽しむことができる場所としてパサージュが次々と作られていった。 ギャルリ・ヴィヴィエンヌもそんなパサージュの一つとして1826年に開店。 新古典主義の装飾、モザイクの床、クーポラを備えたパリで最も愛らしい屋根付き通路は、たちまちパリの人々を