79:活動記録⑤「ベナンの先生と昔の私は似ている」
Bonjour!
まずはこちらをお読みください。
○活動5クラス目
・2024年5月7日〜30日(10日間)
※ 祝日や1週間の6年生の卒業試験の模試があり
その間は他の学年の児童は休みでした
・3年生:在籍62名+先生1人
ここのクラスは任地で1番賢いクラスだと思います(私調べ)。
なぜなら先生がとても真面目だから!
午前も午後も授業をし、教科書を使って指導をしています。「当たり前」だと思われるかもしれませんが、午後は出勤しない先生がとても多く、出勤しても児童をうつ伏せにさせて(起きているとうるさいから寝かせる)働かない先生が多すぎるのです。
※ベナンの他の隊員の地域はそんなことないようなので、ベナン全土がこのような酷い状況ではありません。
よって今回は初めて九九だけの活動に絞りました。割り算の計算方法も授業させてもらえるほど賢いクラスでした。
また、基本どの教室もゴミがたくさん落ちていますが、ここの教室はいつ行っても綺麗!学級崩壊しているクラスほど汚いのは日本もベナンも一緒ですね。
このクラスは半年以上前に一度授業を観させてもらっただけで、全く交流はありませんでした。しかし、コピー屋さんにて久々に会うと「僕のクラスでも授業をしてほしい!」と言ってくれたので活動することにしました。
ベナンの先生と昔の私が似ているという話
私はベナンの指導の仕方が本当に嫌いです。
今回のクラスの先生は「体罰は禁止されてる」と言って鞭や木の棒で叩いたりはしませんでした。その代わり、一言でも私語をしたら教室から追い出していました。
ベナンの子達は「勉強したい」という気持ちが強いので日本の現場とは違うかもしれないですが、追い出しても勉強嫌いな子からしたら「ラッキー」としか思わないしプラスの効果は何一つありません。
彼は真面目ですが、ずっと怖い顔で長々同じことを説明してるだけ。賢い子しか当てないので、他の子は授業を聞いていません。
今までの経験から、「授業の流れを説明しても理解してもらえないだろう」と考え、私がいろんなバリエーションで授業を展開することを心がけました。
しかし、彼の態度から「楽しい授業=悪」ということが伝わってきました。「Suivez=従え」という口癖も本当に嫌でしたし、帰宅時刻になってもずっと授業を続けていました。もちろん誰も聞いてないですが。
「相互理解」とか「人類皆兄弟」と言いますが、生まれ育った環境がここまで異なると分かり合えないことの方がたくさんあるなとこの10ヶ月で感じています。
しかし、私も新卒の時はモグラ叩き状態でクラスでは子どもたちに怒ってばかりだったことをふと思い出しました。「彼の行動は共感はできないけれど、理解できないこともないな」とある日を境にそう思えるようになりました。
「楽しい授業=悪」と思っていることは伝わってきたものの、楽に子どもたちに九九を身につけさせる方法を伝授することができ「これからもあなたの活動を続けていくね」「ありがとう」と言ってもらうことができました。
今後も時々、様子を見に行こうと思います。
日本への憧れ
彼は「日本の学校を見てみたい」と何度も何度も言っていました。日本の教育を勉強したいのだそう。
道端で会った知らない人からも「日本へ連れってって」と冗談で言われるのですが、この先生の言い方から切実な想いが伝わってきました。
しかし、往復の航空券代は彼の半年〜1年分の給料と同じ額。同じものを食べ、同じところに住んでも「生きている世界は違う」のだと日々痛感します。
👨🏾🦱:たくさん勉強して賢くなったらなおと一緒に日本に行けるよ
👧🏾👦🏾:うぇーーーい
という会話もしていました。冗談なのは分かりますが、どれだけ頑張っても行けるわけがないので、そういう話をされると悲しくなってしまいます…。
先生のプライド
算数の答えは万国共通です。
しかし、ベナンの先生たちは1時間=100分というように間違ったことを平気で教えています。
毎日指摘すると関係が壊れてしまうのであまり言わないようにしていますが、この日はついに聞いてしまいました。
「32+4=32+2=34+2=36ではなく、
32+4=32+2+2=34+2=36だよ!」と。
でもどの先生も「ベナンではこれが正解だから」と言います。聞き飽きたこの言葉…。
「数字が違うから=は使えない。だから日本ではこっちが正解なんだよ。」と伝えています。あくまでも「日本ではこっちが正解」という言い方が自分の中で今のところベスト笑
国民性なのか地域性なのか分かりませんが、プライドが高い人ばかり。結局私が折れて終了なのがいつものパターンです。
急に現れた外国人に指摘されてもそりゃあ認めたくないよね〜と自分を落ち着かせます。
クラスにいる病気の女の子
ある日先生から「鎌状赤血球症」の子がいると教えてもらいました。
この病気はほとんどが黒人に発症し、遺伝性の疾患なので例えお金があったとしても治すことはできません。それどころか合併症で死ぬ可能性もあります。
彼女はずっと涙目で痛がっていて、欠席する日もありました。
何もできないのが辛く、薬を渡すかどうか本当に迷いました。渡す選択をしても、私は来年帰国してしまうし、大量に渡したとて両親が管理できるとは思えません。
「一時的でもいいから痛がっていたら渡そう」と心に決めた頃には痛みが治ったようで笑顔で登校することができるようになり、結局薬を渡すことはしませんでした。
その代わり、「お守りだよ」と他の子にバレないようこそっとマスコットを渡しました。
頭がよく、とても頑張りやさんな彼女の人生が少しでも明るいものになりますように。