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阿部寛を味わう2時間 映画『ショウタイムセブン』

まずは作品の概要から。

主演には、数々の映画賞を受賞し日本を代表する俳優・阿部寛。そして、竜星涼、生見愛瑠、井川遥、そして吉田鋼太郎と豪華実力派キャストが360度逃げ場なしの極限状態へ追い込まれる!韓国で大ヒットしたソリッドスリラー『テロ, ライブ』を原作にオリジナル展開も盛り込まれた本作。「岸辺露伴は動かない」シリーズをサスペンスフルで高クオリティに作り上げた渡辺一貴が監督・脚本を務める!

映画『ショウタイムセブン』

本作は、韓国の映画『テロ、ライブ』のリメイク。

落ちぶれキャスター・折本眞之輔(阿部寛)の元に、テロリストから爆破予告が届く。折本はその1本の電話から、かつてメインキャスターを務めていたニュース番組・ショウタイムセブンに返り咲こうと画策する。
作戦は犯人との交渉を進め、その様子をショウタイムセブンで中継すること。交渉を重ねるうちに、次々と思いもよらぬ方向に真実が明かされていく、というストーリー。

ファンであれば特に、電話の声を聴けば犯人が誰であるかは分かるが、目に見えない相手との交渉シーンは緊迫感があった。息を飲む展開が続き、掴みは完璧だ。

本作の6、7割を折本と犯人との交渉シーンが占める。そして犯人は電話出演のため、スクリーンには阿部寛のみが映る。
つまり折本のキャスティングがかなり重要になるわけだが、本作はその点成功している。折本の頭の回転が早いズル賢さやベテランの余裕、それから来る鬱陶しさが2時間ずっと伝わってくる。それは、折本が窮地に立たされた時も、犯人の一枚上手にいる時も、どんな状況でも変わらない。ずっと、折本眞之輔のままだ。
この阿部寛の安心感が、緊迫感が薄れつつあった中盤以降も作品を観続けられた所以だ。

ショウタイムセブン降板後に開始したレギュラーラジオ番組放送中の折本

折本は、阿部寛にしか演じられないだろう。確かな演技力はもとより、例えば顔がもう少し薄かったら、声があんなに野太くなかったら、途端に折本のキャラクターと演者のイメージとの間に溝ができてしまう。
阿部寛の魅力が100%発揮された役柄であった。

さらに言えば、もっと阿部寛の比率が高くてもよかったのではないかと思う。
途中で、メインキャスターの座を折本に奪われる怖さからか、現メインキャスターの安積(竜星涼)が折本の疑惑に噛み付くシーンがある。また、新人アナウンサー・結城(生見愛瑠)もパニックに陥り、叫び声を上げたり文句を言ったりする。
しかしこれが、全くもって緊張感の演出に繋がっていない。むしろ逆効果とも言える。ならばいっそ、展開に必要な役とその他番組スタッフを除き、それ以外は折本と犯人の交渉シーンに終始した方が、面白さが持続しただろう。

ショウタイムセブンで犯人と激論を交わす折本

前述の不必要とも思える演出もあり、中盤以降はやや失速する。
また所々で辻褄の合わない台詞が登場するものの、基本的にはスピーディーな展開を楽しむことができた。
というか、阿部寛を楽しむ映画として、楽しむことができた。

”報道とは誰の・何のためのものか”を問う本作は、世間を騒がせている問題の存在を彷彿とさせた。皮肉なことだが、本作の公開タイミングとしてはバッチリであったように思う。

生放送の緊迫の裏側も見られて、ミーハー心が擽られた

1997年生まれ、丑年。
幼少期から、様々な本や映像作品に浸りながら生活する。
愛読歴は小学生の時に図書館で出会った『シートン動物記』から始まる。

映画・ドラマ愛は、いつ始まったかも定かでないほど、Babyの時から親しむ。
昔から、バラエティ番組からCMに至るまで、
"画面の中で動くもの"全般に異様な興味があった。

MBTIはENFP-T。不思議なまでに、何度やっても結果は同じである。

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Nanochi
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