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2023年読書週間で「積んでる本いっぱい読む」をした

10月27日~11月9日は読書週間らしい。
折角なので、毎年この時期は読書を重点的にやっている。

今年は「家にある積んである本を読んでみよう」のテーマで読書をすることにした。

ルール
・私の部屋で積んでいる本
・ジャンルは不定。小説、エッセイ、学術本など、本の形体を取っていればなんでも。
・ただし漫画・雑誌は積まないタイプなので、今回は対象外
・勉強のための本業の専門書は対象外とする

今回崩した積読リストは以下の通り。

・生物から見た世界(ユクスキュル,クリサート)
・種の起源(チャールズ・ダーウィン)
・鋼鉄紅女(シーラン・ジェイ・ジャオ)
・なめらかな世界と、その敵(伴名練)
・徳田秋声短編小説傑作集(徳田秋声)
・夜叉ヶ池 天守物語(泉鏡花)
・水 本の小説(北村薫)
・祈りの海(グレッグ・イーガン)

今回は本の紹介と感想に加えて
・どうしてその本を買ったのか
・どうしてその本を積んだのか(読まなかったのか)
を追加して行こうと思う。

また、大量の本があるため、本と本のつながりと言うか、これ関連しそうだな、と思ったタイトルをピックアップし、それを視野に入れつつ次に読む本を探していく。

あと、つまらないと感じたものはつまらないと言いますが、それは今現在の私がつまらないと感じただけなので、他の人がどう思うかはわからないし、10年後、私がそれを読んでどういう感想を持つのか、とかは一応無視します。
なのであなたが好きな話が「つまらん」と書いてあっても怒らないでね。

ではスタート。


1冊目「生物から見た世界」

しょっぱなからで申し訳ないが、これは積読ではない。
「よし!積読崩すぞ!」と意気込んだ瞬間、私は新しい本を買っていた。
催眠術だとか超スピードだとか、そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ・・・。

・概要
動物がどのように世界を見ているか、認識しているか、について論じた古い本。たぶん1934年の本。

・買った理由
人間以外の生物主人公の一人称視点のお話が好きだから。(山椒魚、死なない蛸、愛は定め、定めは死など。)

・感想
かなり古い本なので、理解するのに時間がかかった。
教科書的な直訳と言うか、なんというか、「環世界」という単語について理解するのにかなり時間がかかった。「環境」とはまた違った単語なのである。
まだ科学が哲学のジャンルの1つだった頃、そこから科学になるころに書かれた本かと思われる。面白かった。ダニの話とか好き。
ただ古いので、否定されている説や、新説がいっぱいあるんだろうな、と思った。

・関連しそうな本
「ファーブル昆虫記」「ゾウの時間・ネズミの時間」「聖なるズー」など
→種の起源を読んでみることに


2冊目「種の起源」

・概要
全世界を舐め回す「進化論」ってやつが、人間のうえにも及んだのさ。ご存じダーウィンの進化論的な本。
神が人間を作った?いいや、人間は猿から進化したんよ、的なことを言ってダーウィンがボコボコにされたという感じの本。
ただ、その認識はかなり違うし、現代の世だと「進化論」自体がエセ科学みたいに信仰されている所がある。
そんなことは言ってない vs そういうこといってるだろ。今回読んだのはダイジェスト版。原作は長いからね。

・買った理由
誰かからもらった気がする。

・積んでた理由
難しくて長い。二段組みなんだぜ、これ。

・感想
激むず。
生物進化ってものすごく難しくて、なおかつ包括的で先進的なので、
この本で書かれている説が、どの程度古いのか、正しいのか、間違っているのあがよくわからなくって混乱した。
最近で言うと、後天獲得された遺伝子は継承されない、が主流だったんだけど、最新の研究だと、どうやらそうでもなかった気がする。

そしてごめん これ読み切れてない!!! むずかしいよ~~~!!!!
何年積読してんねん。

・関連しそうな本
「二重らせんの私」「聖書」「盲目の時計職人」「利己的な遺伝子」
→全部長くて難しいし、小説読みたかったので、次は小説を読むことに

3冊目「鋼鉄紅女」

・概要
YA向け中華風SF長編小説。ロボもの。ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー。
カナダでは2021年、日本では2023年刊行。

・買った理由
マーダーボットダイアリーの中原尚哉さんが訳してたから。
あと、Twitterで夢小説だと聞いたから。

・積んでた理由
序盤を読んで、主人公の性格と境遇がキツすぎて断念した。

・感想
主人公の性格と境遇がキツすぎる。

うーん……。なんかいろいろ賞取ってるみたいだし、アマゾンレビューとか感想見ても好評なんだけど、私にはいまいち面白さが理解できなかった……。
と言うか読んでてすごく辛かった……。
出てくるモチーフが、全部私向けではなかった……。

なんかこうさ……。
母と娘がいて、娘目線で母の思想を潰す話ってあるけどさ。
娘は娘で今の思想の全てが正しいって描かれるかれるけど、今の思想が果たしてどれだけ正しいかって誰にも分らないのよね。
それこそ科学の発達と同じで、「種の起源」が古くて新説があったり、「生物から見た世界」が古い思想だとかと同じで。

母も母なり強く信じてきたあの世代の思想ってあるやん……。
でも、それが1から100まですべてが間違ってるとは思わないんだよね……。
だから、孫の世代になったら、娘の世代の思想もズレるんじゃないかな、
その時否定された娘は何を思うのかな、娘もかつての母みたいに怒り狂うのかな、って……。

という「種の起源」的な思想。

・関連しそうな本
「マーダー・ボットダイアリー」「天の光はすべて星」「元年春之祭」「星を継ぐもの」「戦闘妖精・雪風」
→SF読みたい。短いやつ。と言うことで次は積んでるSF短編読んでみることに


4冊目「なめらかな世界と、その敵」

・概要
日本人の小説家、伴名練によるSF短編集。個人的にはこの作家さんは日本SFの一端を担っている。と思う。

・買った理由
前読んだ、吸血鬼SF文通世界滅亡百合短編の「彼岸花」がすごく良かった。
本屋行った時に、電車の中で読む本ない?SFがいいな。短編。って指定したら、
友達におすすめされたから。すごいよ!!!って。

・積んでた理由
1作品目の表題作を読んで、それがあんまり好みではなかったので積んでた。
おすすめされたもう1冊のSF短編集の方が面白かったので、そっちを電車の中で2回読んだ。

・読み切った感想
全体的に面白かった。
一番好きなのは「ゼロ年代の臨界点」。
書き下ろしの「ひかりより速く、ゆるやかに」もすごく良かった。

でもなんか物足りないんだよな。なんでだろう……。
起承転結で言う、起承はむっちゃくちゃ面白くて、情報量がすごく多くて楽しいんですが、
転結がなんていうか 毎回似た感じなので、アンソロではなく、こういう風に短編集で連続で読むと「ふーん、またか」になりますね。アンソロ映えする作家さんな気がする。

良くも悪くもキャラクターがアニメ・漫画っぽい。
アニメっぽい話が見たきゃアニメ見るんだよな、自分。

・関連しそうな本
「2010年代SF傑作選」「ガーンズバック変換」「新しい世界を生きるための14のSF」「なめらかな社会とその敵」「神と野獣の日」
→上質な日本語が読みたくなったので、日本文学を読むことに


5冊目「徳田秋声短編小説傑作集」

https://www.kanazawa-museum.jp/shusei/goods/books.html
※徳田秋声記念館のオリジナルグッズのため、アマゾンページなし

金沢三文豪の一人、徳田秋声(1872~1943)。日本文学を代表する文豪の一人。(結構地味な気もするが)
代表作は「仮装人物」「あらくれ」「黴」「和解」など。
文アルではチュートリアルしてくれる。

・買った理由
金沢旅行、徳田秋声記念館に行った時のお土産。館のオリジナル編?らしく、本のコードとかが特にない。

・積んでた理由
なんとなく。途中までは読んでた。昔の作品で文体がちょっと読みにくいので読むのに時間がかかる。

・読み切った感想
当時のことはよく知らないので「???????」となる短編が多いのだが、
あの時代の人間の息遣いが聞こえてくるようなのはなぜなのか。
明治・大正・昭和時代に生きている人々の風景を、そのまま切り取って読んでる感じがする。

全体的に悲しいというか、空しいというか、虚無いというか、スパーンと終わる話が多い。
日本文学の特性なのか、徳田秋声の特徴なのかはわからないけど。

徳田秋声の短編で、ばらばらと登場人物がでてきて、
この人はこの人の甥で、嫁にこんな感情を抱いていて……っていうのを説明してくれるんだけど、
「そうそう、あるあるこういう関係」と割と納得できる。
もし徳田秋声が私の家族を見た時に、私達が長年悩んでいる感情や問題をを、2,3行ですぱっと説明してくれたら、とっても気持ちがいいんだろうなと思った。

「躰」は特に好きな作品です。収録短編は青空文庫でも読めます

・関連しそうな本
「仮想人物」「あらくれ」「夜叉ヶ池」「愛の詩集」「暗夜行路」「布団」→折角なので収録作「和解」にでてきたきた、天才の芸術家「泉鏡花」を触ろう

6冊目「夜叉ヶ池 天守物語」

泉鏡花(1873~1939)は、日本文学を代表する文豪の一人。
代表作は「夜行巡査」「天守物語」「外科室」など。
儚くて強くて人外で妖艶な女性をよく書く人。神経質で潔癖症、趣味は兎グッズ収集、お師匠大好き、わりとナルシスト、などなどキャラクター性には欠かない人。

・買った理由
古本屋で100円で安かった。夜叉ヶ池が読みたかった。

・積んでた理由
買った本がボロすぎた。シンプルに茶色くて臭い。
持っているのもつらいほどボロい。
古本のため、書き込み、メモだらけ。捨てようと思う。許せ。

・読み切った感想
「夜叉ヶ池」は前読んだので略。

天守物語、凄く良かったですね。
読書週間(11月頭)に読めて良かったです。
秋の話でした。すごく気持ちよく読めた。
秋晴れ、秋の空に立っている天守閣。紅葉と雁、宴、秋の草たち。私も雫で紅葉釣りしたい。

あと事前知識なしで読んでたので、えっ人間じゃなかったのこの人たち!? って驚きました。
そしてオチがよくわからなった。
解説読んでもいまいちわからなかった。
つまり桃六さんが最強ってことですか? それはそう

泉鏡花の人外×人間(俗な表現だがあえてこの表現を使います)は、
しっくりものが今までなかったんですが、なんか富姫はしっくりきましたね。何度も映像化、舞台化されているみたいなので見て見たいですね。

・関連しそうな本
「義血俠血」「日本橋」「真夏の夜の夢」「伽羅枕」「金色夜叉」
→そーいや、2023年の鏡花文学賞が発表になっとったな。その本積んでたわ。読むか。

7冊目「水 本の小説」

北村薫(1949~)は日本の小説家、推理作家。
代表作は「空飛ぶ馬」「スキップ」「覆面作家シリーズ」「中野のお父さんシリーズ」など。
「水 本の小説」は令和5年度 第51回泉鏡花文学賞を受賞しています。授賞式は11月11日だって。

・買った理由
なんかのイベントに行った時に、せっかくだからとサインしてもらった。

・積んでた理由
何が言いたいのかさっぱりわからん。

・読み切った感想
「本の小説」って書いてあるけど、エッセイだわこれ。

途中から、「あっこれ北村薫のTwitterなんだな」と気づいて、そこからやや雑に読んだ。
たぶん10~100年後ぐらいに、「北村薫」と言う人物が文豪として扱われる時代になった時に、私小説か書簡集として扱われる類の本だと思われる。文学研究やったことないから知らんけど。
文豪全集とか読んでると、こういった文豪の脈絡のない謎の文章にぶち当たることがありますね。
たぶんそう言った類の本かと思われます。

……といろいろもっともらしいことを言ってきましたが……。
なんか、老年の上司の昔話をひたすら聴かせられている気分になってくるんだよな……。
人に読ませるものなんだから、せめて、もうちょっと話の脈絡作ってくれても良くない……?

本のレビューとか覗いてきたんですが、みんな困惑しててちょっと面白かった。

8冊目「祈りの海」

・概要
ヒューゴー賞/ローカス賞受賞のグレッグ・イーガンによるSF短編集。

・買った理由
前述、知人が「イーガンはいいぞ!!」と推していたから。

・積んでた理由
なんとなく。「繭」読んだあたりで満足して途中で止めてた。

・感想
いやーーー良いですね。好きです。
「貸金庫」とか滅茶苦茶好きです。「繭」も良い。「キューティ」も好き。あと表題作の「祈りの海」も。こういうSF書きたいなぁ。

SF的なモチーフがいっぱい出てきます。DNAの話とか、量子論とか、平行世界とか。
それだけで終わるんじゃなくて、それを主人公が悩んだり、解釈したり、選択したりするのが良い。
SFって、結局人間がどのぐらい人間的に悩むのか、って言うのが要素の1つだと思っています。
おもしろかった!

ただSFモチーフが難しい奴が滅茶苦茶難しい。
理解するのに2回ぐらい読まないとわからん。「それってつまり……こういうことだよね?」という。

・関連しそうな本
「順列都市」「ディファレンス・エンジン」「タイタンの妖女」「夏への扉」


全体的な感想・なぜ人間は本を積むのだろうか?

全体的に本を読むのが辛かった。積んでる本って、なんか知らの理由があって積んでるので……。
が、「ちゃんと読んでよかった!」と思った本がたくさんあった。

まだたくさん積んでるので、ちまちま積読本は崩していきたいですね。
個人的に、積むのが多いのは
「短編集で途中まで読んで満足した」「昔の本で読むのがすごく難しい」「人からタダで貰ったので優先度が低い」のパターンが多いような気がしてきました。

まあ、本は生き物ですからね。
オスとメスがあるのはよく知られていますから、一緒に行くと繁殖するんですよね、本って。
そして人間も生き物なので、興味は移り変わっていくものなのですよね。はーーー。

あと、流石に本読むの飽きた。
ゴジラとフリーレンがみたい。


それでは。


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