
赤くておいしそうな鮭(サケ) でもじつは白身魚だった!?
コンビニでおにぎりを買うとき、たらこや昆布にまじって、必ず鮭が置いてあります。また、お弁当コーナーを見れば赤くておいしそうな焼き鮭をメインに据えた通称シャケ弁もあり、鮭は私たちの暮らしと常に身近な存在になっています。
居酒屋やお寿司屋さんに行けば、生の刺身の鮭を味わうこともできます。脂がのってピンク色にキラキラ輝いているサーモンはたまらなくおいしいですね。このピンク色の煌めきを見るだけで涎が溢れてきます。
でもこの鮭、これだけ赤いのだからマグロやカツオと同じ赤身魚かと思いきや、じつはカレイやヒラメなどと同じ白身魚らしいのです。
こんなに赤みを帯びているのに! 色を表すときもサーモンピンクと言ったりするし、少し調べればベニザケという身がさらに濃い赤色の鮭もいるのに、白身魚というのは本当でしょうか?
そもそもなぜ赤身・白身があるの?
私たちが赤身魚・白身魚と分けているのは、見た目の色です。これは魚の身に含まれるミオグロビンという成分の量が関わっています。ミオグロビンは人間の血液中に含まれるヘモグロビンと同じような働きをするもので、赤い色素成分があります。これが多ければ多いほど赤い身の魚になります。
マグロやカツオなど、長距離を泳ぐ魚が赤身なのは、ミオグロビンによって酸素を大量に循環させることができるからなのですね。
鮭の赤みはニンジンの赤!
では、鮭のピンクの身もこの成分のおかげなのでしょうか? ミオグロビンによって赤くなっているのであれば、赤身魚ということになるのでは……。
じつは鮭の身の赤さは、ミオグロビンではありません。まったく別の、アスタキサンチンという成分による赤なのです。
アスタキサンチンのもとはベータカロチンです。ベータカロチンと聞けば、野菜のニンジンに含まれている成分として知られています。つまり鮭の身は、ニンジンの色だったのです。
鮭の身はエサで赤くなる
では、なぜ鮭の身鮭の身がエサで赤くなるのでしょうか。
この成分は、もともと海に大量に生息している植物プランクトンに含まれています。これをオキアミやエビが食べると、彼らの体内でアスタキサンチンに変わります。そして鮭は彼らオキアミやエビを食べます。
すると、しだいにエサに含まれていたアスタキサンチンが鮭の筋肉の中に蓄積されていきます。そうなることで、身が赤みをだんだんと増していって、白身魚なのに赤い身になっていくのです。つまり、鮭はもとから赤い身をしていたわけではなく、オキアミやエビを食べているうちに赤くなっていったわけですね。
それを裏付けるのが、養殖の鮭の身です。オキアミやエビなどを食べない養殖の鮭は、白い身のまま成長します。ですが、鮭=赤い身をしている、と思い込んでいる私たち日本人のウケがよろしくありません。したがって養殖業者は、わざわざエサにエビの殻などを混ぜることで、意図的に赤色にしているのです。
ちなみに、冬場の産卵期に川を遡上して産卵する鮭は白い身になっています。これは、アスタキサンチンが、鮭の母体から卵へ、栄養とともに移るためです。イクラが赤いのはこれが理由だったわけですね。
参考資料:
『できる大人は知っている! 雑学 無敵の237』話題の達人倶楽部編(青春出版社)
Ⓒオモシロなんでも雑学編集部
いいなと思ったら応援しよう!
