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中学受験に役立ったと思う習い事や習慣
中学受験シーズンですね。
僕が中学受験をしたのは15年も前になりますが、この体験が今の人生を形作っている根底にあるなと感じています。
今回は、以前書いた大学受験編の中学受験バージョンです。
僕は中学受験で渋幕、渋渋、筑駒を受けて、全て受かって第一志望の渋渋に進学しました。
自分の中学受験を振り返って、成功したなと思っています。
それは第一志望に受かったということや学力・思考力を手に入れたということもそうですが、自分で志望校を決めてそこに受かるまでのプロセス、そして偏差値や周りの声に流されずに自分で軸を持って進学先を選べたことにあると思います。
人生を振り返っても間違いなく渋渋にいた6年間が最も楽しく、かけがえの無い経験をしたと思っていて、それを以て成功したなと今感じています。
今回の記事ではn=1の体験談ですが、中学受験に役に立ったなと思う習い事・習慣・環境は何だったかを振り返りたいと思います。
もちろん性格や環境によって最適解は変わるので、あくまでもこういう育ち方もあるよというので誰かの参考になれば幸いです。色んな粒度で書いていきます。
小学2年生の終わりに早稲田アカデミーという中学受験塾に通い始めました。その時初めて受けた模試で全国1位になり、ここで初めて自分の相対的学力を知りました。
その後は正直モチベーションが続いて落ちなければそりゃ上手くいくだろうという感じなので、「どうやって小学2年生段階で全国1位の学力を手に入れていたか?」の視点を多めに記します。
僕は自分の意志で中学受験がしたいと思い、親に塾に行きたいと頼みました。このモチベーションで始めるかどうかで成功するかどうかが決まってくるような気もします。
モチベーション編:文化祭と学校説明会
本人が中学受験へのモチベーションがあるか無いか、それで結果は大きく変わると思います。
モチベーションがあると勉強をする理由が自分の中にあるので、続きます。「宿題で答えを写す」という誰もがやる行為もやってしまうことはありましたが、その時に「これをやっても意味無いな」というのに自分で気付いて、辞めました。進学先も自分で判断することができます。
ではなぜ中学受験をしたいと思ったか、それは文化祭に行ったからです。
ラッキーなことに僕には兄がいて、兄が中学受験をするかもしれないということで、兄のための文化祭見学に弟の自分が付いて行っていました。ちなみに兄は当時院生(囲碁棋士の養成機関です)だったので土日に文化祭に行けず、なぜか母と小2の僕の2人で文化祭に行くというのを繰り返していました。
文化祭に行くとそれはキラキラしていて、楽しいわけです。もちろん学校によって特色が違うので、どの学校に楽しいと感じるかは行ってみないと分かりません。様々な文化祭に行き、雰囲気が好きで合う学校をピックアップしました。そして、最も輝いて見えたのが渋渋でした。
その時、この学校に通いたいなと思い、そのためには受験が必要だということを知って中学受験をしたい!となったのです。受験が目的ではなく「その学校に通うための手段」に自分の中でなっていたので、モチベーションに繋がりました。文化祭のパンフレットを家に持ち帰り、すぐに読めるように本棚に置いていました。
塾に通い始めて小5~6で志望校を確定させていくにあたり、学校説明会にも母と2人で行きました。当時聞いた記憶があるのが第一志望だった渋渋と、実力的に狙えそうな筑駒でした。
恐らく今も学校説明会は保護者向けだとは思いますが、僕は自分の耳でその学校の先生が理念について語る学校説明会に聞いて良かったと思います。その場で「自分には筑駒よりも渋渋が合うな」と肌で体感できたからです。だから、両方に受かって周りの大人に色々言われた中でも、自信を持って決断することができました。自分の人生なので、12歳であっても自分で決断できて良かったと思います。
習い事①囲碁
僕は公文やそろばんには一切通っていません。チャレンジなどの通信教育もしていません。小学校も普通の公立です。
勉強系の習い事は塾以外無いですが、塾に通うまでに思考力を形成した習い事としては囲碁が大きいかなと思います。
兄の影響で2歳頃の物心つく前からやっています。幼稚園が終わったらそのまま車で兄と近所の碁会所に送ってもらって、しばらく碁を打って帰るという生活を毎日のように続けていました。
囲碁は引っ越しで環境が変わってやめてしまいましたが、6歳まで習っていました。囲碁で培ったなと思える能力は、礼儀正しさ、計算力、先を読む力、負けず嫌い、忍耐強さ、大局観です。
まず、数を数えられないと勝ち負けが分からないので成り立ちません。対局が終わって陣地を数える時に掛け算を用いるので、自然と掛け算は覚えていました。また、6歳頃になると対局中に少し時間をかけて形勢判断をしていた記憶があるので、脳内で数字を覚えながら次々足していくという記憶力と計算力が身に着きました。
また、これは将棋などにも共通しますが脳内で盤面を組み立て、先を読むというのも今考えればイメージングの力を鍛えているので脳に良いなと思います。
何より受験に大事だったなと思うのは負けず嫌いです。勝つことの楽しさ、尊さ、負けた時の悔しさ、その気持ちのぶつけ方を学びました。
中学受験に行くとどの学力帯でも絶対に競争環境にさらされます。その中で「勝つマインド」を持ち続けるには負けず嫌いな性格の方が良いだろうなと感じます。それを囲碁で鍛えてもらったなと感じます。
習い事②水泳
幼い頃から喘息持ちだったので、心肺能力を上げるために水泳に通っていました。小学校低学年~中学年くらいです。
小4の時に早稲アカの夏期合宿で泊まり込みで勉強するのですが、もちろん男子は部屋で枕投げなどを始めるわけで、発作が起きて別室で寝泊まりやテストを受けていた記憶があります。
ただ、水泳を続けていったおかげで小6になる頃にはほとんど治り、喘息のことを気にせず万全の状態で受験に臨めました。やっていて良かったです。
体調に関しても人それぞれなので色んな事情があると思いますが、子どもが1日10時間も勉強するにはそれなりの体力は必要だなぁと今になって思います。
この他の習い事は幼稚園の時に運動教室のような所に行っていたくらいで長期の習い事は他にしていません。
習慣①ゲーム
中学受験に役立ったものは断トツでゲームです。
ゲームのおかげで間違いなく学力が伸び、受験に必要なスキルを身に着けたと思っています。
物心ついたタイミングからゲームボーイでポケモンをやっていて、それでひらがな・カタカナ・数字を覚えました。もちろんその習得を意図して作られたものでは無いのでしょうが、ゲームと言うのはよくできていて、報酬系がしっかりしているので「これを続けたい」という中毒性があり、「これを続けるために必要な情報は得たい」と自然に思う訳です。子どもの僕にとっては最初のハードルが文字だったので、ゲームの魅力によって識字を得ることができました。
ポケモンというのも良く、そこでポートフォリオの概念を学べたり、読み合いなどの論理的思考も学べたりしました。
どんな習い事、習慣でも良いのですが、「子どもが自分でPDCAを回す経験」が中学受験を成功させる上で必要なのかなと思います。その内容が直接勉強に繋がっている必要はなく、もっと抽象的で構いません。「自分で何か達成したい目標があり、そのために試行錯誤する」という経験です。
大きな目標があり、それを達成するにはどういう小目標を超えていけば良いのか逆算する。現状の自分のレベルを正確に測り、目標との差分をどうやって埋めるか戦略を考える。その戦略を実際にコツコツ頑張って達成してみる。そこから得られた結果を踏まえて、改善して、また次の目標を立てる。
これを自分でできるかどうかだと思います。これができるなら受験勉強もできます。算数を解く時の頭の使い方もそうだし、もっと広く受験勉強全体でも同じことです。
僕はこのスキルを間違いなくゲームで身に着けたと思います。クリアしたい内容があり、そこに向かって自分なりの戦略を立て、自由に実行できる環境があります。上手にできていますね。
別にこれはゲームである必要は全くなく、それがそろばんの人もいれば、野球やサッカーの団体スポーツでも可能だろうし、ピアノや書道などの習い事でもできると思います。ただ、周りの大人や指導者があまりにもレールを敷きすぎるのは「その競技については強くなる」ものの、「自分でPDCAを回す能力が付くか」というと良くはないのかなと思います。
習慣②パズル
パズルや暗号が好きな子どもでした。なぜそうなったのかは分かりませんが、これもゲームの影響は大きいと思います。
パズルもゲーム同様、自分で色々試行錯誤して閃いた時の楽しさがあります。
特に数独とルービックキューブにハマっていた小学生時代でした。数独は自分で問題を作って楽しんでいました。
よく書店で数独やパズルのドリルを買ってもらい、家族と一緒に解いていた記憶があります。一緒に解いてくれていた、というのが良い発達を促したんだなと思います。
中学受験が始まって、受験算数はパズルの延長に近いなと思っていたので好きでしたし、一番の得意科目でした。
習慣③読書
本を読むのがとにかく好きでした。体が弱く外で遊べないことも多かったので、自然と家でできるゲームやパズル、読書が好きになったのもありますね。
読む本のジャンルは本当に多く、毎回買っていては破産するので、毎週図書館に行って好きなだけ借りるということをしていました。特に好んだのは、はやみねかおるや松原秀行などの青い鳥文庫、パズルやクイズの本、ミステリー、ドラえもんの学習まんが、算数や数の不思議系の本などです。
本を読むことで漢字に強くなりましたし、国語もかなり得意だったように思えます。算数の能力はパズルで、国語の能力は読書で、抽象的な学力はゲームや囲碁で自然と鍛えていたんですね。
環境①勉強しろと言われない
勉強しろと言われたことは一度もありません。自分で受験をしたいと言っているので当たり前と言えば当たり前ですが、その環境がとても居心地よかったです。
もちろん小学生なのでだらけてしまう時もあるし、受験生になって家でゲームばかりすることもありますが、それを見ても放っておいてくれたのはありがたかったです。
むしろ受験直前になって一緒にゲームに誘ってくれたりと、受験を特別視しないで普段通り接してもらえたので精神的に安定していたと思います。
勉強を家族に教えてもらったこともありません。それも良かったです。
環境②リビングで勉強
受験界隈ではよく聞きますが、常にリビングで勉強していたのが環境的には良かったです。意図的にそうしていたわけではなく、ただ部屋の机が汚かっただけだからとは思いますが、そのおかげで集中力が付いたと思います。
テレビもついているし、横で兄が囲碁の勉強でパチパチ鳴らしているけど、却って各々好きなことに集中できて良かったと思います。
環境③科学館と父のクイズ
休日は家族で図書館に行くか、科学館や美術館に行くか、公園でキャッチボールをすることが多かった気がします。平和で良いですね。図書館は先述しましたが、この中では科学館が勉強には良かったです。日本科学未来館やお台場のメディアージュなどによく連れて行ってもらった気がします。プラネタリウムが好きで、これで理科力が担保されたんですね。
科学館などに車で遠出をする時は、よく父がクイズを出してくれました。面積の大きい都道府県は?とか、生産量とか、そういうクイズです。
これでクイズが好きになったのもあるし、社会力が付いてますね。とは言え勉強させたくて出したというよりは僕がせがむので出してくれていたんだと思います。
机に向かう勉強は強制しないけど、やりたくなるような環境を作ってくれていて、やりたいことは全力で応援してくれました。采配がうますぎる。結果中学受験においては最強になれました。恵まれた環境だったと思います。
どこまで再現性があるかは分かりませんが、記憶をたどって当時良かったと思う習い事や習慣、環境を書いてみました。
大切なのは、途中で書いた「子どもが自分でPDCAを回す経験」だと思います。これに加えてたまたま?具体的な算数のスキルや国語のスキルが身に着いていました。そして、そのモチベーションを保つために「自分で受験をしたいと思うこと」が大事なんだろうと思います。もしくはそう思ってもらえるように上手に促すかですね。
ちなみに、子どもが自分でPDCAを回す経験として最適に近いなと思っているのがメモリースポーツです。宣伝にはなりますが、僕は今メモアカという会社で「アスリートキッズコース」というクラスを開いています。ここでは小3~中3対象に記憶術とメモリースポーツを教えています。
メモリースポーツはかなりPDCAを回しやすいです。目標が明確で、自分のスコアもすぐに可視化され、改善ポイントも自分で見つけやすいです。毎回の試行錯誤の中で点数が大きく変わります。短時間の集中力も必要です。
これらの点から、記憶力を伸ばすということ以上に人間としてスキルアップする習い事だなぁと感じています。興味がある方は是非お越しください。毎月生徒募集しています。
もし僕も子育てをするとしたら、一緒に囲碁とカタンをやって、ゲームで遊びまくると思います。そしてメモリースポーツを一緒にやるでしょう。
今後も受験や勉強についてのnoteも書いていこうと思います。よろしくお願いします。