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船の上で記憶をなくす21歳
セブへ来てまだ4日ほどしか経っていない留学初期、僕は友人に誘われて学校主催のアイランドホッピングにいった。
アイランドホッピングとは
アイランドホッピングとは、ボートでいくつかの島々を巡るフィリピン特有のリゾートアクティビティである。
フィリピンにはセブ島をはじめ、7,641もの小島が点在しているため、観光資源として盛んに行われてる。
実は僕らが入学した週というのは、フィリピンの大型連休と被っている時期だった。そのため入学して1週間目だというのに、水曜日までしか授業がなかったのだ。せっかくの余暇、お金にまだまだ余裕のある僕らは、3000ペソ(7,929円)をはたいて休日を楽しむことに(ここまでの4日間ですでに金銭感覚が狂いはじめていた)。
集合が朝9時だったので、意外にも余裕をもった起床ができ、朝ごはんを食べて、集合場所に止められたバンに乗り込む。向かう場所は空港のあるマクタン島。初日に来た道を遡りながら、同じ車に乗っていた日本人と話に花を咲かせる。
お互いまだあまり英語が話せるわけじゃなかったけど、初めての海外の生活に不安と興奮が入り混じり会話ははずむ。
その子たちはそれから3ヶ月に続く腐れ縁になるのだけど、それはまた別の話。ほどなくして到着したのは、真っ白い砂浜のビーチ。僕らを待っていたといわんばかりに、船乗りたちが湧いて出ていきなりハイタッチ!
セブアノの陽気な洗礼を受けた。さきにランチを済ませるらしく、手前にある韓国資本のレストランへ足を運んだ。通っていた語学学校は韓国資本だったため、提携先の観光会社やダイビングショップも韓国人のオーナーが多い。
少し車を走らせればリゾートホテルやペンションが立ち並んでいる。
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写真の左奥にはダイビングショップがあり、のちに筆者はライセンスを取得する。
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インスタに勤しむ野郎3人
合流した友人たちと席につくが、まだ昼前だったこともありしっかり朝ごはんを食べていた僕らは正直いってお腹はあまり空いていなかった。
もともと海上でランチを食べると聞いていたので、しぶしぶメニューを見て、目に留まった可愛めのスイーツを注文することに。
ハロハロと呼ばれるそれは店員によると、かき氷にマンゴーを乗せたセブの人気スイーツだそうだ。
セブといえばマンゴー。南国感をたっぷり感じられるそれは、黄色く柔らかい果肉で水々しい。
他の学生はしっかり昼も食べるらしく、野郎3人がインスタ映えに勤しむこととなった。
しかしそこで僕らの期待を裏切ることが起こる。出てきたハロハロはまさかのジャンボサイズ。いやいやどこのコメダ珈琲だよ。野球部が昼飯に食す牛丼くらいはあるぞこれ。
粗めのかき氷の上にゴロゴロと贅沢にトッピングされたジューシーなフレッシュマンゴー。
重い。
食べなくてもわかるこの重さ。いやいやこの後クルージングですぞ?
ずらりと並んだ三つの丼に男3人は絶句。
味は……めちゃくちゃ美味い。まさに暑さを吹き飛ばす美味しさだ。
マンゴーフレーバーのアイスクリームと練乳がトッピングされているらしく、とにかく甘い。むしろマンゴーが1番甘くないまである。
フィリピーナは甘いものにはコストを惜しまないと聞くが、まさかこれほどとは……。
感嘆しつつも、徐々に僕らからは笑顔が消えていった。
なんとか食したものの、他の二人はグロッキーに。
皆さんは、ハロハロ注文の際は相手さんとシェアしましょうね!
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海に入る前に、かき氷で溺れることになったが、ここからはいよいよクルージング!!
再び気持ちのいい日照りが僕らを迎え、海岸へと向かう。さきほどの陽気なスタッフたちに促されてミニボートに乗り込みエメラルドグリーンの海と空に目を細める。
Koreanイケメンとツーショットを撮りながら、いざクルーズ船へgo!
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船といっても、そんな大層なものではなくて、大きめのボートに足場を作り、両端にある浮木でバランスを取っている特徴的な船だ。バンカーボートというらしい。
大きな揺れも吸収してくれる為、船酔いすることもほとんどありません。セブ島のアイランドホッピングでは一般的なものだそうだ。
「It’s so beautiful~」
なんて拙い英語を言ってしまうほど心地よかった。乗組員が手を差し伸べて、水面の揺らぎを感じながら船へ乗り込む。
全員が乗船すると、早速船は沖へ舵をとった。
と同時に、船の真ん中にぞろぞろ大量の酒が運ばれてくる。
普段は寡黙なKoreanマネージャーが爆音で音楽をかけ流していく。
てか、そのスピーカーどっから持ってきたんだよ。スタジオの据え置きくらいはあるサイズだぞ。
各々が酒を持ち一斉に乾杯!
そして………その後4時間に続く宴が始まるのだった。
泥酔ホッピング
約20人が一斉に飲むのだから、ものすごい量だ。あっという間に一本。また一本と空き瓶が増えていく。ソジュにサンミゲル、品目は少ないが海ではしゃぐ僕らに瑣末なことだ。
音楽に合わせて船員たちが踊り出す。船の上はもはやパーティ。
最初は満腹気味だった僕も、次第にアルコールで上機嫌に。
波に揺られる感覚も、潮風の匂いも、同じアジア人の仲間たちとの楽しい会話も、すべてが新しい刺激として僕の中で広がっていった。
いやてか、現地人フィジカル強すぎだろ。なんで船の上でアクロバットしてんねん。
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ある程度沖へ出ると、船が止まり、各々にライフジャケットが渡される。
そう、シュノーケリングだ。すでに酒は飲んでいるが、ここはフィリピン。細かいことは気にしない。
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冷たい海に飛び込み、ちゃぷちゃぷと海底を眺める。
学生二人に1人、クルーがついて30分ほど泳ぐそうだ。
日本男児である僕らは、そのうちクルーの指導のもとライフジャケットを脱いで海底を目指す。いくつかのエリアに青いstar fishのレプリカが散りばめられており、それを探していく。
すでに酒も入り、圧平衡なんて歯牙にもかけなかった僕は5メートルも潜れば耳と鼻が痛くなってくる。
結局、潜っては息が続かずを繰り返しながら1度目のシュノーケリングは幕を閉じた。
べろべろへとへとで船に戻ると、船は近くの島に停泊した。
こちらが本来の目的。島巡りだ。酔いも冷めて、写真を撮りまくりすっかり上機嫌で船に戻る。
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そして再びどんちゃん騒ぎとシュノーケリング。もう飲んでるのか飲んでないのかわからないほど酔いしれ、何杯飲んだのかは覚えていない。それでも足りず、みんな海に飛び込んでは飲むを繰り返した。
音楽と海は最高のエンターテイメントで、僕らは互いに笑いあいながら、馬鹿みたいにはしゃいでいた。
気づいたときには、日が沈みかけていた。
夕日に照らされた白い砂浜に寝転んでいると、先ほどまでの騒々しさが嘘のように静けさにつつまれる。
しかし水面に映るオレンジ色の空がいつまでもキレイで、「もう終わりかー」とすこし名残惜しく感じてしまった。
こうして僕らのアイランドホッピングは終わった。ほんと40本くらい飲んでいた。しまいにはトイレか、飲酒かといったルーティンを繰り返していた。
夕方には引き潮になっており、岸からすこし離れた場所で下船。
ボートから降りた瞬間に、悟る千鳥足。誰が見ても泥酔状態の僕に、クルーたちは肩を貸してくれる。優しい好き。
ようやく岸につき、あたたかく見送られながら尿意との相談をはじめ、もときたバンに乗って友人にヘッドバンギングしている姿を撮られながら、学校の寮へとついた時にはもはや記憶曖昧。
しかし曖昧とはいえ、そこまでは覚えている。
窓のにもたれかかり、友人がもってきてくれた水をとり損ねて床にぶちまけて……
気づいた時には、ベッドの上に寝転がっていた。
「……え」
ベッドは二段目。下は勉強スペースとなっており、上がるには細いハシゴを使わなければいけない。
正直マジでどうやって自分のベッドまで上がったか覚えていない。
あとからルームメイトに聞いても、「知らん」の一点張り。足にはいくつも痣ができているし、知らずのうちに自分でベッドまで這い上がったのだろうか。
よくお酒で記憶を飛ばすなんていうけど、生まれてはじめてそんな経験をした。
ただひとつ覚えているのは……その日を境に僕のアルコールに対する周りの目がキツくなっていったということ。
入学初っ端から大失敗をかますわけだが、酒弱の名誉挽回を果たす話はまた今度。
とにかく人生で1番酒を飲んだ日であった。
みんなもお酒には飲まれないようにね。ではまた。
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