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🌏終末少女兵器 [四心]:6話.咲夜の涙【SF小説】

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「庄助、どういう事なの?」

「咲夜は怪物と意識の中で深く繋がっているんだ。 だから、怪物が痛みを感じれば、咲夜も痛みを感じる」

「それで私達はどうすれば良いの?」

「オレ達も怪物と意識を同化させる。 そうすれば、何かしらの解決策が見つかるかもしれない。 意識を集中した事により、外部の声や光景が見えたように、今度は意識を同調させるんだ」

「……わかったわ……他に手はないし、やってみましょう……」

「それじゃ、目をとして意識を集中しよう」

オレと弥生は目を閉じ、怪物を考え意識を集中した。

その間にもMk6の攻撃が絶え間なく続き、咲夜は体を丸くし苦しんでいる。

しかし、いっこうにオレと弥生は、怪物の意識を感じる事が出来ないでいた。

「ダメだ……全然、怪物の意識を感じ取れない……いったい咲夜はどうやって、意識を感じる事ができたんだ……」

「そうね……しかも私と庄助だけが、この精神世界で意識を保っているのにも意味があると思うの……それは、きっと咲夜ちゃんの意識も関わっていると思うわ」

オレと弥生が精神世界で解決策を模索していると、外部からまたMk6の声が聞こえた。

「あらあらあらあら、どうしたのかなー? グッタリしちゃって、あんたの友達はどこに行っちゃったのかなー? 大切な友達だったんでしょー? なんてナンバーだったかしらねー、あーそうそう、Mk15ね。 あなた達はくだらない愛称で、呼び合っていたみたいだけねー。 その大切なMk15ちゃんは、どうしたのかしらねー? まさか、まさかと思うけど、大切なお友達を食べたりはしないわよねー? そんな事したら鬼畜よねー。 そうでしょう、鬼畜ちゃん!!」

嫌味な言葉を並べたMk6は、怪物の腹部の突起を鷲掴みにして、引きちぎった。

Mk6の手の中には、研究員が警備員かの頭がダラーンとぶら下がっていた。

「気持ち悪ーい。 アハハハー」

と言って、引きちぎった頭をポンっと捨てた。

「Mk6、どこまで心が荒んでるの! 優しい咲夜ちゃんが、自ら私を食べる訳ないでしょ!」

「それは同感だ。 Mk6は痛ぶり殺す事を楽しんでいやがる……」

その時オレは丸くなる咲夜を見た。

すると、咲夜の目からは涙が流れていた。

咲夜は怪物と意識を同化させるだけでなく、外部の情報もオレ達のように理解しているのかもしれない。

そうなると、施設で殺してしまった人や、弥生やオレの事も殺してしまった事を知ってしまっているだろう。

弥生が言うように、咲夜が心優しい女の子ならば、必死になって怪物に殺すのを止めていたかもしれない。

そして、殺してしまったときの心の辛さは、凄まじいものだっただろう。

なんとしても早く、咲夜をこの苦しみから開放してあげたいと、オレは熱く思った。

その時、咲夜のある変化に気付いた。

オレは最初、咲夜は痛みを感じ、横に倒れ丸くなっているのだと思った。

しかし、よく見ると何かおかしい……上になっている左手が、ボール抱えるかのような形をしている。

これは丸くなりながら、何かを体で守っているんだ。

それはきっと、怪物の意識だろう。

「弥生、咲夜を見てくれ! 何かを守るように、丸くなっているように見えないか?」

「……確かに……そう言われれば、そう見えるわ!」

「きっと、ここに怪物の意識があるかもしれない!」

そしてオレと弥生は、咲夜が丸くなっている腹部の部分に、片手を当て意識を集中した。

かざした手の平は、徐々に暖かさを感じてきた。

そして、オレの意識がまた別の領域へと向かって行った。

真っ黒な世界に、小さな光は無数に散らばっている。

まるで、宇宙空間のような世界にオレ達は辿り着いた。

そこには赤黒いゴツゴツした、直径30センチくらいの卵のような物を抱えた少女が立っていた。

「咲夜ちゃん!」

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最後までお読み頂き、ありがとうございました💖

今回は終末少女兵器はいかがでしたか?🌟

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まだまだ、note初心者ですが、皆様の喜んでもらえる作品を作りたいと思います💖

この作品と関連性のある終末少女兵器シリーズはこちらになります😊


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