『素敵な体調の崩し方』〜その後の日記〜
あの頃の気持ちを思い出す。
夢の世界に居て、夢を見ていたのだと。
白黒ハッキリさせる事が怖くて。
それでも…。
怖くても…。
その時は訪れた。
自分が持っていた宝物、全てを行ったことのない地のゴミ箱へと。
絶対に取り戻せ無いコンビニのゴミ箱に捨てた。
その後、後悔した。
どうして捨てちゃったのだろうって。
でも今は後悔していない。
私はこれからも生きていくから。
過去を振り返らないって。
なのに涙が出ちゃうのはどうしてなのだろう。
久しぶりに見たんだ。
『あの人』の姿を。
それはただの夢で。
あの頃のままの『あの人』で。
起きたら涙が流れていた。
今は齢も重ねてきっと…。
そう思ったけど中身は何も変わっていないんだろうな。
それとも穏やかになっているのかな。
あんなに、他人を大切にする人を他に知らなかったから。
あんなに心が綺麗な人も他に知らなかったから。
お願いだから届いてほしい。
一緒に見た観覧車の光も、
腕を組ませて貰ったことも。
一緒に終電に乗ったことも、
イヤホンを片耳ずつ入れて音楽を聴いたことも。
私は忘れない。
たった一人の人を、こんなに大切に思える気持ちを教えてもらえたことを。