君はいつも壁がある、だから僕は好きなんだ。
飲み終わったアイスコーヒーの氷をゴロゴロとストローで転がす。それは時を止める魔法である。
「久しぶり」
彼は笑顔でいつもこう言った。先週も会ったじゃん、とツッコむこともあったけど、会う頻度は大半がそれに等しかった。だから会うと話すことはたくさんあって、その度に必ずお互いの近況報告をした。こなす、と言ったほうが近いかもしれない。彼とする近況報告はいつもどこか冷たくて、なんとなくの距離があった。近況報告というタスクが私たちの会う理由だったのかもしれない。そしてそれが終わると彼