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勝手に1日1推し 185日目 螺旋プロジェクト(作家8人による競作企画)

螺旋プロジェクト(作家8人による競作企画)     小説

私がこのプロジェクトに参加した(読み始めた)のは、確か、今年の初め。
My栞コレクションの中にへんてこい栞が紛れ込んでいるのを見つけまして、アレっ?てなって、そこからです。
ってか、自分でもらったんじゃろがい?!ってセルフ突っ込みかましつつも、まったく覚えがない!!きっとどこかの書店のレジのところからスッとお持ち帰りしたんだと思いつつも、まったく覚えがない!!
ですが、初めてズッキーニを食べた時くらい「なんじゃこれ?」ってなって、心惹かれる栞でございましたのよ(トップ画像参照)。
本とねこちゃんとカタツムリと渦巻貝と海とクジラ。本とわんちゃんとカタツムリと渦巻貝と山と虹。What’s up????
でも栞をよく見てみると、豪華人気作家さんが名を連ねているではありませんか?!ななななんと、

・朝井リョウ 
・天野純希  
・伊坂幸太郎 
・乾ルカ 
・大森兄弟 
・澤田瞳子 
・薬丸岳 
・吉田篤弘 

の8人。確かに限界突破コラボ!
ええぇええええぇぇ?何何何よ~ってなって、早速中央公論社のページを開きました。その名も「螺旋プロジェクト」!!

リンクを開いてもらえれば一目瞭然ですが、ここにも記すと、

共通ルールを決めて、原始から未来までの歴史物語を書いてみませんか?

という、伊坂幸太郎先生の呼びかけで始まったプロジェクトなんですって!!

情報量多すぎるので、貼ります。

Yabai!!どちゃくそ面白そうじゃんって思いました。そして、実際どちゃくそ面白かったです!
現代、歴史・時代、推理、ファンタジー、SF!!!あざます!!!
1年かけて原始から未来まで海族と山族の因縁の軌跡を体感致しました。制覇すると何ともやり切った感がありますゾヨ。ほんと、マジこれで心置きなく年が越せるってもんです。

正直、トホホなことに作家さんの中で伊坂先生と朝井先生しか読んだことがなかったです・・・ですので、お2人の作品からスタートしました。

伊坂先生の作品は伊坂先生の作品らしいエンタメ度高めでミステリタッチの疾走感のある作品でとても楽しめたし、朝井先生の作品は朝井先生の作品らしい見ないように目をそらしてきた恥部暗部を抉り出したリアルな若者像は秀逸で、一般論をぶった切るたちの悪さ(褒めています)が光る最高な仕上がりでした。
しかも、この2作品は共通のモチーフが分かり易く登場していて、連作感を感じるのにうってつけでしたので、続けて読んで良かったなって思いました!

で、で、他の作家さんたちもものすごく面白くって、次々読み進めたんですけど、特に大森兄弟先生の「ウナノハテノガタ」、感動して泣いちゃった。
原始時代の担当ってことは、何もかもの始まりの物語な訳で、何一つ確定事項がない状態からのお話作り、且つ、共通ルールの縛りありって訳ですよ。頭おかしくなるじゃん、こんなの。手の付けようがなさそうなのに、神話めいた美しさと共に、現在の世界情勢の寓意までも感じられてとても心に響きました!!凄いなあ、作家さんって・・・。

歴史・時代小説についても同様でして、縛りある中でどうしてこんなにも史実に基づいた物語として昇華させられるんだろう?て敬服しきりです。
「もののふの国」、源平合戦から幕末までって長すぎない?!って日本史が苦手だとクラクラしそうですが、歴史に疎くても無問題です。むしろ、時代の流れが分かって良き!!海族&山族を橋渡しする存在が物語を理解しやすくしてくれます。
「月人壮士」は、武士の時代よりも更に知識の乏しい時代のお話だったけれど、亡き聖武天皇について周囲が語るというスタイルで進行しており興味深かったです。海族VS山族についてもいわゆる敵同士の争いではなく、内なる葛藤=争いという形で描かれており、他作品とは違う魅力がありました。普遍的で人間性に迫る内容でした。

近現代についてももちろん、史実に基づいておりました。恋愛や友情といったテーマの現代小説として描かれていました。「蒼色の台地」、「コイコワレ」共に夢中で読み進めちゃいました。

未来編については、もう、SF!!そしてファンタジー。どんな未来になるのか想像しながら読むと心が躍ります。今の常識や生活スタイル、一般的な価値観が続くとは考えにくいじゃないですか?こんな世界になったらいいな、とか、やだな、とか点としてはそれぞれが未来像を持っていると思うけれど、それを繋ぎ合わせ総合して世界を創造するまでには考えが及ばないのが素人(?)で、存分に脳内の世界観を形作ってアウトプットしてくれるのが作家さんなんですよね。「スピンモンスター」、「天子も怪物も眠る夜」興味深く拝読しました。

どの作品も本当に面白くて、共通のモチーフが出てくるとわくわくして、どんな対決になるのかどきどきして、めちゃくちゃ楽しめます!!
バラバラのようで繋がっている、繋がっているようで、バラバラ。きっと、時代や境遇が違えど、人々が同じように悩み、苦しみ、それらを乗り越え、許したり、認めたり、自分なりの落としどころを模索する姿に統一感が見い出せるんだと思います。プラス、各巻に「ー海と山の伝承「螺旋」より」と銘打った共通の物語を添えるという工夫もなされています。
もちろん、それぞれ独立しても読めるけれど、創造主になった気分ですべての時代を掌握できる喜びは、全作読んでこそですね。
それに、知らなかった作家さんや興味のないジャンルとの出会いも嬉しくなります。

文庫版には8人の作家さんたちによる座談会の様子も巻末に収録されております。
ここに記されていて最も驚いたのが、8人が平行して執筆なさってたってことです。
年代順に時系列で前時代の作品を踏まえて描いたのではなくて、よーいドン!でそれぞれが執筆。コレ、新しい試みらしいです!!当然、好き勝手に書き連ねていたら連作にならないですから、

・ミーティングを重ねて共通するモチーフを煮詰め、長編物語による歴史年表を作り上げた
・小説BOC連載中の2016年~2018年の2年間、毎回全員の原稿を読む作業を行った

そうです。壮絶~!!大変過ぎない?!8作品が全て、なぜか統率がとれているのは、上記のような綿密なすり合わせ作業の賜物なんでしょうね。

ちなみに、本作のようなシェア・ワールドと呼ばれる、1つの世界観を複数の作家が共有し創作するという本作のような連作又は競作は、リレー方式で執筆されることが多いそうです(確か・・・)。

つまり、バラバラのようで繋がっている、繋がっているようで、バラバラ。なはずなんですよ!もぉ、はなから繋げるつもりではないんだもんな。だから読む側も年代順に読み進める必要はなくって、好きなように選んでいいっていう自由!いいなあって思います。私は朝井→伊坂以外は、順番に読みませんでした~。

ここで吉報!
第二弾も動き始めているとか?!わーい!!
凪良ゆうさんもメンバーにあがってた。楽しみだなぁ。

最後に栞の裏面も見て欲しい。

わんちゃんも可愛い!おおる・・・おおる・・・・・

ということで、推します。


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